MPC German88 製作記
8tハーフトラック編




箱を開け、ヒケ、バリ、変形のあまりのすごさに箱を閉める。
数年後再び箱を開け、閉める。これを繰り返すこと20余年。
その間、多少の経験もつみ、たいがいのキットなら組める自信もついてきた今日この頃、ちょうど DAKコン が開催されることになったので長年の宿題にケリをつける覚悟で制作をスタートしたのでした。

掲示板で実車のレストア写真のサイトを教えてもらい、しげしげ見るとこれが目に毒なほどよく分る。
で、お定まりのおひねり地獄に(苦笑)
フィギュアを満載してジオラマにして、と構想を膨らませていたので、こりゃー1年たってもできんな、 と開き直ってじっくりと取り組むことにしました。
途中何度か中断し、お蔵入りの危機を感じたので、こりゃイカンととりあえず8tハーフトラックだけでも 形にしてモチベーションアップを図ることにしました。

パーツ状態でまず気になるのがフロントフェンダーの形。
キットでは後ろが流線型っぽい斜面になっています。
実車では真円に近い形状なのでエポパテの盛り削りで修正。

ややフェンダーのボリュームが小さい気もしますが、そこまで弄るとこのキットを使う意味がなくなって しまうのでこの辺で。
レストア車両の写真を見ると、今まで(他キットも含め)模型では再現されていないところがいろいろ判明して 面白い。
戦車と違ってこういった支援車両の資料本は今でも充実していないので、ネット社会というのは モデラーにとって実にありがたいものですね。

まず車体側面はぶ厚すぎるので半分くらいの厚さに削る。
そのままではシートと側面の間に削った分隙間があくのでシートの幅を増すのですが、それだけでは 終わらず、このシートが一番手のかかった改造ポイントになりました。

1列目シートは背もたれが2分割になっており、運転席の左側はバッテリーの置き場所になっている。
背面にはバッテンのプレスが左右につく。
手すりは一体型で2箇所に補強が入る。

2列目(3列目も)シートは1列目よりも座面が高い。
というか、1列目は足元が一段低いのでその分座面も低い。
これはフィギュアを座らせると明らかに分るので、手を入れたいところ。
2列目の背もたれと座面の間は抜けている模様。
背面の手すりは左右に分かれており、真ん中にクッションらしきものがある。

3列目シートは3分割になっており、真ん中は取り外しができるらしい。
おそらくシートの後ろが荷室になっており、真ん中のシートをはずして出入りするのでしょう。
2列目背面のクッションは出てくるとき頭をぶつけないためじゃないでしょうか。

床の滑り止めは1列目は点々、2,3列目はなぜかひし形パターン。
不思議ですが複数の車両で確認できるので製造当時の仕様と思われます。
これはおなじみのヨーグルトの蓋で再現。
自分の発見した素材がちょうど活かせるのはうれしいですね。
実は製作途中で知らぬ間に足周りにシンナーをこぼしてダメにしてしまい、新しい 青箱のキットと2コ1してます(涙)

後部バスケットはできるだけ細く削り込み。
折れやすいので注意しましょう。

バスケットの前側の格子が省略されているので0.5ミリ真鍮線の半田づけにて制作。
1本分の厚みにするため、交差する部分を互いに直径の半分に削るのがちょっと面倒ですが。
余分な半田はヤスリとペーパーできれいに仕上げます。

車体前部のディテールアップ。
車幅表示棒、牽引ホールド、ノテックライト、バックミラーをいつもの通りプラ材、真鍮材で自作。
スカットルとボンネットの間の防塵カバー?をエポパテでやや大げさに表現。

運転席周り。
ステアリングはできるだけ細く削り込む。
キットではメーターパネルだけで、ダッシュボードがないのでプラ板で追加。
右下の箱(燃料タンク?)、床からはえるレバー類を自作。
ノブはエポパテを小さく丸めたもの

エアフィックスは再現しきれないところはデフォルメするのではなく、あっさりと省略してしまうので 改造するときはかえってやり易い。

履帯はこの当時のキットにしてはかなり正確に再現されており好印象。
転輪から浮かないように細いワイヤーで縛り、起動輪の後も浮き気味なので針金でしっかり押さえる。
ここが浮いていると興ざめなので。

拡大画像
フロントウインドウと後ろの荷物はカバーで覆ってしまう予定なので、ゾンザイに作っております。

写真で見るとウインドウワイパーのモーターの出っ張りが結構目立つので、ランナーで再現してみました。

側面の手すりは側板のコーナーに穴のあいたタイプとコの字形の棒を取り付けたタイプが確認できます。
キットでは前者ですが何かのっぺりした印象なので、後者に改造しました。

拡大画像
小銃はプライザーから。止め具をアルミ缶で自作、
大きさは約1ミリ角です。

転落防止のベルトもアルミ缶で。
鉛板よりも丈夫ではないかと。

古いエアフィックスの例に漏れず、若干細身ながらハセガワよりも数段プロポーションがよい。
苦労したかいあって近づいて見るとすごい迫力。
ここからさらに小物をいっぱい積んでフィギュア乗せて、88引かせて、と。
まだまだ道は遠い・・・

(2006,9)


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