はじめの挨拶
または何故ナナロク戦車を作るのか




ニスケAFVの主流が1/72になりつつある現在(といってもマイナーなことに変わりないけど)なんで ナナロクなんかを作ってるかって 安いからっていう裏の(真の?)理由を言ってしまうと身もふたもないので 少しまじめに語ってみようと思います。

まず第1に昔から慣れ親しんでるスケールであること。
私がミニスケに手を染めた頃は(その前にバンダイ48シリーズにはまるのですが それはまた別の機会に)AFVといえば1/35と1/76が国際スケールといわれてて 1/72は世界でただ1社、ハセガワが飛行機と統一スケールをうたってミニボックスシリーズを 出していただけでした。
しかし飛行機は全く興味がなかったし、なによりフジミの車種選定のマニアックさや スケールモデルとしての出来のよさにしびれていたので(生意気なガキだ)もっぱらナナロクを 愛好していたのでした。

第2にナナロクのメーカー、フジミ、今はフジミブランドになってる日東、英国のエアフィックス、 マッチボックスは揃いも揃って個性派。
それぞれ味わいが全く違って組んでて実に楽しいんですね。
まあ最近の1/72のキットは買ってないんで直接比較したわけではないんですが。

第3にすでに一生かかっても作りきれないほどキットストックをかかえてて 1/76の他にも1/35、1/48AFV、1/43、1/32、1/24車、1/12、1/9バイク、1/12リン・ミンメイ、ノンスケール ミンキーモモ(おいぉぃ)と 山積みになってるので今からあえて近いスケールに手を出して作りもしない在庫を増やすこともないかなと。

といっても強いポリシーがあるわけでもないので好きな車両がでればころっと宗旨変えすることは 十分ありえますが。

年模型を愛好していると年とともに好みがいろいろと移り変わってきます。
初めて自分でプラモデルを作ったのは確か小学3年の時でイマイの「サンタマリア号」でした。
それから1〜2年ほどは完全に帆船モデラーです。
AFVに転向したきっかけは漫画週刊誌にのってたタミヤの広告。
完成品のかっこよさにしびれました。
しかし経済的理由と小スケールが肌に合ってたんでしょうね、タミヤはほとんど買わず 1/48→1/76と小さいほうに志向が移っていきます。

高校の時にガンダムの放送が始まり(といっても新潟の田舎では放送されておらず動くガンダムを初めて 見たのは京都に修学旅行に行ったときでしたが)ご多分にもれずアニメブームの洗礼を受けます。
バンダイの300円シリーズにバルキリーの変形トーイ・・・

当時今でいうフィギュアブームのはしりの頃でそれまで高価なガレージキットしかなかった バルタン星人、大魔神といった同世代を直撃するアイテムが大手メーカーから比較的安価で発売され始め、 バイト代をつぎ込みました。

社会人になって車を買うと俄然車の模型に興味がわいてきて経済的に余裕ができたことも手伝って グンゼのハイテックシリーズをずいぶん買いましたねえ。1個しか完成してませんけど。
そのうち小スケールの虫がうずきだして1/43ホワイトメタルキットに走ってみたり・・・

かし年をとってくるとともにだんだんモノを買い集めることに負担を感じてきたんです。
そんな時ひょんなことから約20年ぶりにAFVに出戻って小学生の時に作ったのと全く同じキットと再び向き合うことに なったんですけどこれが実にいいんですね。
素朴な味わいが。
なんか帰ってきたという感じでした。
人の趣味というのは結局原点に回帰するということでしょうか。

密さや組みやすさでは1/72の新製品に分があるのは論をまたないのですが 私にはその点はさして重要ではありませんでした。

自分がなんで模型を作るのかって考えたとき、精密で正確な縮尺模型をなるべく手間をかけないで コレクションしたいからなのか?
それははっきりNOといえますね。
それなら残業でもしてそのお金で完成品を買ったほうがはるかに効率的です。

いい年の大人が家庭も顧みず貴重な時間を湯水のように消費してやるからには そこに自分なりの表現を盛り込んだり難しい技術に挑戦してやりとげたという達成感を 味わったりということだと思うんです。
してみると模型製作の楽しさというのはキットの出来不出来とは本質的に関係ないなと。
そう思うようになってからどんなキットでも楽しめるようになったんですね。

のキットというのは設計する方も乏しい資料のなか、不明なところは想像で補いながら 一生懸命考えて設計する、それを組む受け手の方もキットの至らないところを一生懸命 工夫して作る、そういうせめぎ合いの中で模型的な新しい表現や作品の存在感がでてくるのではないか、 最近そんなふうに考えて「作る」ということにスポットを当てたサイトを立ち上げようと思い立った次第です。

とはいえスケールモデルである以上、正確、精密な方が望ましいのは自明のことで 不断の努力を重ねている模型メーカーの関係者には敬意を表します。(ってしっかりフォロー)
今や唯一のインジェクションキットメーカーになったフジミさんには2年に1こくらいは新製品出して ほしいんですけどねえ。

まあたいした技術もないのですが興味のある方は付き合ってやってください。

(2003,10)