その後のヨンパチ事情




いにというかやはりというかタミヤが1/48の戦車シリーズを発売することが 発表されました。
第1弾はやっぱりそうですかのタイガーI型(笑)。
続いてM4シャーマン初期型、III号突撃砲B型の発売が公表されていて、すでに計画されている 車種は20とも30とも言われています。
現時点ではタイガーの発売前なのでキットそのものについてのコメントはできませんが、 憶測を含めていろんな議論を醸しているようなのでここで今一度このスケールについて(タミヤへの 希望も込めて)考えてみたいと思います。

1/35の新製品開発は人気車種の再設計ものがほぼ出つくして数年前から完全な閉塞状況に陥っています。
人件費/金型費が安い中国や東欧と違ってある程度数を売らなければならないタミヤにとって 他スケールへの進出は必然と言えるでしょう。
その際、1/48という新天地とも言えるスケールを選択したことはAFVの楽しみの幅を広げるという意味でも 納得できる判断であり私は素直に歓迎します。
ミニスケ関係の掲示板などでは「何であんな中途半端な」的な意見が支配的で一部に1/72への 参入を待望する声もあるようですが私はそうは思いません。
その理由として1/72は人気こそイマイチですが総アイテム数では1/35を凌駕しており、かなり今さら感が 強い。
1/72は世界が確立しており、今までミニスケに手を出さなかった1/35モデラーがタミヤ製だから といっておいそれと買ってくれるとは思えない。
模型界全体の活性化の観点からもあまりいいことはなさそうです。
それに(これが大きいのですが)マイナーが居心地よくてミニスケやってる私のようなものにとっては 平和な商店街にある日突然巨大スーパーが進出したようで落ち着かない気持ちになる。

1/48というスケールは単に新しい市場というだけでなく、模型表現上もいろんな可能性を秘めて いると思います。
1/35は作る方も見る方も目が肥えてしまって、工具の取り付け具や履帯がキットのままでは 満足できず、いきおいエッチングパーツを買う必要に迫られる。
フィギュアなら最低銃のスリングを自作して「目」を描き込まないと悪いような気持ちになる。
一方1/72・1/76のミニスケは鑑賞に堪える作品に仕上げるには(自分で言っちゃうのも なんですが)それなりの技が必要で (そこが面白くてやってるんですけど)初心者が気軽に、というわけにはなかなかいかない。
その点、1/48ならキットのまんまでかなり満足度の高い仕上がりが期待できるのではないかと 思うんですよね。
品質的にはあのタミヤですから全く心配ありませんし。
かつてのバンダイ48シリーズとは別次元の世界を見せてくれるでしょう。
(あれはあれで好きなんだけどね)

後1/48がAFVのスケールとして定着するかどうかは一重にメーカーと模型誌をはじめとする業界が 1/35と違う楽しみを提供できるかどうかに掛かってるでしょうね。
リアリズムとディティール至上主義に陥ってしまうとあまり将来はないかな。
サードパーティからアフターパーツが出てくるのはしょうがないとしてもタミヤには間違っても エッチングパーツ同梱なんてやってほしくない!
少なくとも高くなりすぎて小遣いでは1/35キットを買えない子供たちに向けてのエントリーモデル という明確な役割が想定されるので中途半端にマニアに媚びたような内容にすべきではない。
「安価で、作り易く」というコンセプトを貫くべきでしょう。
具体的な希望を言っちゃうとジオラマ中心の展開にして欲しいんだよなあ。
例えば簡易型でいいのでベースとストラクチァーのセットを発売するというのはどうでしょう。
キットの戦車/フィギュアと併せるとそれらしいジオラマが簡単に完成する。
つまりマッチボックスのヨンパチ版です。
ジオラマは模型趣味の至上のものですがやはり敷居が高いんですよ。
48ならではの「そのまんまで満足できる」良さをジオラマの世界にまで展開して敷居を なるべく低くしてあげようという考えです。
その楽しさに目覚めて既製品に飽き足らなくなったら1/35へ行けばいいのですから。

前のコラムで書いたように私は1/48のファンでいずれはこのサイトを1/76、1/48という2大 忘れ去られたスケール専門サイトに育てようと目論んでいたのですがあの天下のタミヤ様の 参入ということで業界としては歓迎すべきことですが個人的にはかなり複雑な気持ちです。
雑誌とかにも逐一取り上げられるでしょうしねぇ・・・
というわけで最近目をつけてるのが1/24スケール。
ハセガワがチョロッと出してるだけなのでマイナーで終わる可能性は十分だし。(笑)
私的な感覚では戦車なら1/48、フィギュアなら1/24くらいが気持ちのいい大きさで 1/35って一番中途半端なスケールに思えるんですがねぇ。
いや、けしてタミヤ嫌いって訳じゃなく、結果的に少ないだけで・・(汗)←このひねくれ者

(2004,10)