「007 スカイフォール」
ダニエルボンドに拒絶感を持ちながらも、かれこれ付き合って早や3本目ですね。
「本来のボンドはこうじゃない!」ってのも古オヤジな考えなのかと思いつつ、ようやく「コレはコレでアリか……」と受け入れられてきた今になって、昔を彷彿とさせるユーモアをチョイ出ししてきたりするんだもの。ソレはズルイでしょう。
初代アストン・マーチンが登場し、デンデケデンデ〜ン♪ とボンドのテーマが流れたら涙出てきた(笑)。
かつてのシリーズに見られたユーモアを取り戻そうとする件や世界各国を股に掛けた異国情緒やアクションのシークエンスには拍手ですね。
あとは音楽とボンドガールと秘密兵器と悪玉と……って言ってちゃキリがないけど(笑)。
とはいえやっぱし「MIシリーズ」や「ボーンシリーズ」等、同じようなアクション物に混じってしまい、あの007ならではの夢もロマンも失くしてしまっていることには寂しさを拭えません。
今回悪役のアカデミー賞俳優は、かの「ノーカントリー」とは全く違うテイストだけれど、やはり「近寄りたくない」なんともいや〜な感じを醸し出していてさすが「上手い」。
だけれど捕まっても何処か余裕こいちゃって、ああやっぱし……とアッサリ逃げて逆襲に転ずるところは「羊たちの沈黙」のレクター博士を元祖に「セブン」〜「ダークナイト」にまで引用されていますから〜新味無く陳腐な気がしてしまった。
ボンドガールの扱いも、今回オッ! とかつてを思わせるエキゾチック美女で、その後の展開を期待させながら、あ〜の呆気ない死に方はなんともハードボイルドで良かった? のかな「ゴールドフィンガー」でヨロズヤのシルクハットで首を折られた彼女を思い出した。
悪役の本拠地として軍艦島が登場した時ゃオッと思いましたけど、安全上の都合から現地でロケ出来なかったというのは何とも残念ですねぇ。
何しろいつもボンドが切羽詰まってテンパってるところが人間味アリ過ぎでスケールを小さくしてる気がする。逆に言えばそこがダニエルボンドたる所以なのでしょうけれど。
今回ボンドの生家や両親のお墓なんかが出て来るところは、原作ボンドの生活感の無さからは想像もつかないところですね、良く言えば新味? でも原作者のイアン・フレミングが生きてたらどんな反応を示すでしょう。
あと上司「M」とのドラマがここまで掘り下げて描かれたのも異色でしたね。ブロズナン時代から女性版「M」を演じてきた名女優さんへの敬意の表れなのかな。
何より自ら劇中の審議会でも議題にしていた「時代遅れ」な007の設定を、現代にどうアピールするのかに、作り手が頭を絞って創造している姿勢がビビットに伝わってくるので、だから生き残っているのだろうと、拒絶しながらも魅かれてしまうのはその部分だと思うんですよ。
今回ラストでイケメンの新上司「M」と若い兵器係の「Q」オマケにセクシー黒人の秘書「ミス・マネペニー」まで出揃って、新しい「極秘任務」でエンドですから〜次作に期待してまぁた観に行っちまいますやねぇ〜♪。