「十二人の怒れる男」
ご存知シドニー・ルメット監督の、一場モノの舞台劇を映画化したディスカッ
ションドラマの大傑作。
元は一場モノの舞台劇の映画化で、全編限定されたひとつの部屋の中で、時間も
現実時間と同じ長さで展開して行く……そうゆう映画ってよくあるけれど、この
映画がそれ等の原点ですよね。
舞台劇を書く人はみんなコレをひとつの理想の形としてお手本にしているので
はないかな。
ひとつ場所に会した複数の人物たちが互いの主張をぶつけ合いながら事件の真
実を紡ぎだして行くという過程は実にスリリングで引き込まれます。
話が進んで行くうちに12人の陪審員たち一人一人の心理とか性格が明らかに
なってきて、それぞれが事件にかかわることによって自分の抱えている事情から
判決を覆して行く……映画は大掛かりな仕掛けとか無くってもこうゆう面白さが
あるのだという見本ですよね。
以前にコレをキャストを全部女性にしてやった舞台があったのだけれど、スゴ
イ迫力だった。
やっぱ激しい議論とか言い合いは女性がやった方が恐いんでしょうね(笑)。
オレも芝居を書き始めた当初から理想は一場モノでした。なのでこの作品もも
ちろんなんだけど、最初にイメージしたのは黒澤映画「天国と地獄」前半部の屋
敷の中のシーンでしたね、シネマスコープの画面いっぱいに配置された人物が、
それぞれに違う思惑を持って、その気持ちと気持ちがひしめき合って息が詰まり
そうでした。