「28日後」

 かのジョージ・A・ロメロが開発した「ゾンビ」はその後世界に数々の亜流 を生み出し、所謂 「ゾンビ物」 と言うジャンルが出来ているくらいになりま した。
 その中でも本作はゾンビを初めて 「全速力で走らせた」 のが画期的だった。

 元来 「ゆっくりと、でもジワジワと迫って来る」 と言う怖さが売りのはず だったジョージ・A・ロメロのゾンビだけれど、それが次には飛びかかって来た り、水中を泳いで来たりする様になって、本作では遂に陸上の短距離選手をゾ ンビに仕立てて走らせたと言う。

 けど本家ロメロに言わせると 「私は走るゾンビはあまり好きではない」 の だそうで、その後さらにパワーアップした元気なゾンビたちの登場する 「ドー ン・オブ・ザ・デッド」 も含めて本作以降の走るゾンビを見てから改めてロメロ の 「走らないゾンビ」 を見ると、やっぱしゾンビはゆっくり歩いて、でもジワジワ と迫ってくる恐怖の方がずっと心地よい(って変な言い回しですが)かなと、 思ったのでした。

 しかしてイギリスで作られた本作はロメロの元祖ゾンビ三部作を上手くミッ クスして再構成し、設定を死体が動くのではなく 「人間がウィルスに感染して 狂犬病の様になって人を襲う」 と言う設定にして、誰もいないロンドンの街並 み等、シュールなSF色を醸し出しているところが特色でした。

 それとこの作品はエンディングが2バージョンあって、ハッピーエンドとア ンハッピーエンド版があるんだよね。
 オレはDVD借りて二つとも観たんだけれど、まぁ必ずしも 「こっちでなけれ ば」 と言う感じでもなく、どっちの終わり方が良いのかはそれぞれの好みの問 題かな……ってくらいだった。

 違うバージョンのエンディングがあるってのは一時期流行ってましたよね。趣向 としては面白いとも思うけど、それまでのストーリーはそのままで、ラストシー ンだけを変えても成立するのって、ある意味それだけ作品の趣旨が絞り切れてい ないってことですよねぇ。

 なのでオレその趣向はあんまし好きではありません。
 本作の場合はオレどっちを先に観たのか忘れたけれど、ハッピーエンド版の方が 断然良いと思った記憶があります。
 アンハッピーエンド版は好みと言うよりそれまでのストーリー展開からすると そぐわない感じだった。



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