「48時間」
コレはもう古典と化してますねぇ。ゴールデンタイムに放映した回数のベストテンをやったら間違いなくランクインするでしょうね。
コレが出て以降刑事物と言えばコンビになりましたね。所謂バディ物って言うんでしょうか、でもその歴史を紐解いてみると、古くは1958年の「手錠のままの脱獄」(は二人とも囚人ですが)という傑作がある訳ですが、僕等の育った本作以降に登場した刑事物は皆「リーサルウェポン」等、主役二人の丁々発止のやり取りが楽しい雰囲気を醸し出す……と言うのが売りになりました。
日本の「あぶない刑事」もそのバリエーションでした。
でもこの作品のエディ・マーフィは刑事じゃなくて、刑務所にいる犯罪者なんだよね。
そこがこの作品のミソなんだよな。刑事コンビじゃないのだ! ニック・ノルティ演じる刑事ジャックは、自分の拳銃を奪い自分の相棒を殺して逃げた脱獄犯のガンツ(ジェームス・レマー!)の行方を追う為にガンツの仲間で今は服役中のマーフィを48時間の期限付きで刑務所から出し捜査に協力させるのだ。
最初は反発し合い、喧嘩ばっかしてた二人だが、目的は違っても共通のターゲットを追う為に期間限定の協力関係を結び、そのうちに次第に友情が芽生え……と言う過程がスリリングに実にカッコ良く展開して行く。
当時25歳? のエディー・マーフィはコレで颯爽と登場して一気にスターダムに駆け上がった。
その後ハリウッドスターとしてヒットを飛ばした「ビバリーヒルズコップ」シリーズ(得に2!)が彼のキャリア中頂点だったよな気がするけれど、しかしそれを含めても本作以上にカッコ良かったマーフィって無いよな……。
8年後に作られた続編のことは思い出したくも無いくらいですからねぇ。
あと本作を含めてウォルター・ヒル作品を観るのに本当は決してテレビ放映ではなく、DVD等でノーカット・ノーストップで観ることをお勧めします。
と言うのは他にもヒルの傑作「ストリート・オブ・ファイヤー」や「レッドブル」の編集も手掛けているフリーマン・デイヴィスの功績なのかもしれないけれど、時間の流れが他の映画とは違う何か言い知れぬ「ズレ」を感じさせるんですよ。
コレは独特ですよ。今に至るもこの独特の心地よさを感じさせる編集は、ヒルの作品以外でお目に掛かったことがない!
それがテレビ放映では途中CMが入ってしまうので、その独特の「テンポのズレ」を味わうことが出来ないのだ。
オレ的にはその感じこそがヒル映画の一番の魅力だったのだけれど、その編集の秘密はきっと高度なプロフェッショナルの領域に属する物なのでしょう。
オレなんかが考えてもそのメカニズムは良く分かりません。
それともうひとつ、コレは字幕で観るより吹き替え版で見た方がオレは面白かった。
そりゃ英語が分かる方なら良いですけど、なんせマーフィのマシンガントークは字幕なんぞじゃ補いきれないし、コレを必死で字幕追ってたんじゃテンポの心地よさが半減してしまうのだ。
何かいろいろおせっかいなことを書きましたけれど、コレが水曜ロードショーで放映される度に水野春郎が必ず言っていた「さぁ〜今夜の作品は面白いですよ〜」という言葉が思い出されます。