「デス・プルーフ in グラインドハウス」
ここんとこのタランティーノは自己の思い入れパロディに過ぎてるところが気になって、
本作も観る気なかったんだけど 「ジャンゴ(三池版)」 の流れで急に観たいと思って最終
日に滑り込んで来ました。
そ〜したら狭い新宿武蔵野館は50人で満員。どうやらオイラと同じ滑り込み組が集ま
ったのか、コレはやっぱし面白いのかな……と思っていたら……コレが!
うぉーーー面白い面白い面白い面白い♪♪♪♪ オレあんまし面白い映画観てると泣け
て来るんだよね、帰りに危うくサントラ買いそうなった(笑)
そーですよ、コレですよ、60〜70年代の映画ってこう言う面白さだったんですよ!
懐かしさと新しさが渾然一体となった何と言う痛快!
コレはオレタラの中で文句無しに「レザボア」の次に好きです。他の方のレビュー読ん
でみると皆さん「女たちのお喋りが長くてダレる」って書いてますけど、アレも全て構成
上の監督の計算なんですよ。
前半と後半で別のそれぞれ4人組の女グループが出て来ますけど、あれだけ延々とお互
いの生活や男関係を喋りまくれるのはそれぞれのキャラ設定がかなり詳細に作りこまれて
いるからですよ。
まぁ確かにダレるけど(笑)でもあれだけリアルに人物たちの実在感を描写しているか
らこそクライマックスのアクションが面白く見れるんですよ。
この作品は一見クレージー男とバカ女たちの乱痴気合戦な内容ですけど、コレにはかな
ーり緻密な設定と計算された物語構成があると思います。
お姉ちゃんたちが振る振るお尻で観客も興奮させといて、あのクレージースタントマン
男の性的趣向がカークラッシュだと言うお膳立て、そして彼の乗る車は運転席に乗ってい
ればどんなにクラッシュしても絶対死なない「デス・プルーフ仕様」だと言う。
じっくり煮込んだ作意の出汁が効いてる面白さですよ。「キルビル」でやりたい放題や
り尽くした後で、良い感じに力が抜けて、それでいて手練手管に長けた職人芸を見せてく
れたと言う感じでした。
いや〜こんなに嬉しいと思わなかった! 面白いモノを見た元気一杯で帰って来ました
♪
「キルビル」のアニメになったり文字を入れたりの画面処理は遊びすぎで煩い気がしたけ
ど、本作の "ワザと古いフィルムの様にキズを走らせたり飛ばしたり、音を途切れさせた
り……" の画像処理は意図的に場所を選んでやってるし、それでいて本当に古い作品を観
ている様でグーだった。
あとオマージュを捧げているカーアクション映画として「バニシング・ポイント」と「
ダーティメリー・クレイジーラリー」が再三語られるのもニヤリとするけど、オレ的には
やっぱし後にも先にも一番凄かったカーアクションは「マッドマックス」で、コレについ
て語られないのはハリウッド作品じゃないからかな。
でも「マッドマックス」のカーアクションは先に挙げた「ダーティメリー・クレイジー
ラリー」から影響を受けてると絶対思います、走る車を捉えるカメラのアングルとかアク
ションのカット割りのセンスとか、今みてもやっぱしバツグンです。
本作はそんな60〜70年代の "映画が一番面白かった時代" のエッセンスを見事に再
現してくれました。しかも新鮮に!
クライマックスのカーアクションは "ボンネットに人を乗せて走る" と言うアイデアが
卓越していて見せましたねぇ。
それにカート・ラッセル! あ〜のキレっぷりにはもうブラボーですよブラボー! 「
ブルーベルベット」のデニス・ホッパーか「シャイニング」のジャック・ニコルソンかっ
て感じでした(笑)是非スピン・オフして再登場を切望します(笑)
あとこの作品はアメリカではロドリゲスの「プラネット・テラー」と2本立てで、昔流
行ったB級映画専門の映画館「グラインドハウス」の雰囲気を再現しようと言う企画だっ
たらしいけど、日本ではそれぞれ1本ずつ(2本立て用バージョンよりそれぞれ少し長い
らしい)の切り売り公開になったとのこと。
なので「プラネット・テラー」も観ようかな……と思うんだけど、どうもオレロドリゲ
スはダメなんだよねぇ〜最初の自主映画「エルアリマッチ」には光るモノを感じたけれど、
後のスケールアップした「デスペラード」とか「レジェンド・オブ・メキシコ」が全然ダ
メ。
なのでまぁ今度も皆さんのレビューを読み回ってみて、そいで良さ気だったらまた最終
日にでも滑り込もうかな。