「E.T.20周年アニバーサリー特別版」

 最初に「E.T.」が公開されてから20周年の年に公開された 「特別版」 このバージョン はオレ観て無いんだけど、確か子供たちを捕まえようとする警官たちがライフルを持っていたのを 暴力的だからと言う理由でCGで消したとか、良く分かりませんね。

 当時(初公開時)映画館に行ったら満員御礼で、確か始めて 「指定席」 を買って観たのがコレ か 「お葬式」 でした。でもコレは前売り券も買っていたので、その後上映終了間際にもう一度 観に行って、そん時ゃ映画館ガラ空きだったので構わず号泣したのを覚えています(笑)。
 よく 「E.T.」 観て泣いたとか言うと馬鹿にされますけど、違うんですよ! 言い訳する訳じゃ ないけど、この作品観て 「泣いた」 と言っても少年と異星人との友情が良かったとか、別れに泣 いたとか言うんじゃないんですよ。

 コレは解って貰える人もいるかと思うんだけど、本編中に2度号泣したシーンがあって、それは 何かと言うとE.T.の超能力で少年の乗った自転車が空を飛ぶシーンです。

 本編中に2回あるんですね、最初はポスターにもなってる月夜の晩に飛ぶのと、ラスト近く警官隊 に囲まれた時に皆で一緒に飛ぶのと。

 あの時ねぇ、まぁ感激して泣いたと言えばそうなのだけれど、涙流しながら感じていたのは 「こ んなことがある訳がない」 と言う虚しさと言うか哀しさだったんですよね。

 現実生活が余りにも虚しくて、映画の中でしかこんな素晴らしいことは起こり得ないんだ…… と劇的な虚しさに襲われて半分泣いてる訳ですよ。
 自分の中のそんな気持ちに気付かされたのも鮮烈で、オレってそんなに現実生活を虚しく感じてい たんだろうか……と思い知らされた。

 勿論その一方では 「だから映画ってこんなに素晴らしいんだ」 と言うことでもあるんですけどね。 同じ様にして泣いたのは 「ネバーエンディングストーリー」 でラストやっぱし主人公の少年がファルコン(犬の顔をした竜)に乗って空を駆け巡るシーンでした。

 映画の中で余りにも素晴らしい奇跡を見せられると、感激の余り逆に虚しくなってしまうと言う心 理があるのではないかと思いました。

 スピルバーグは 「ジョーズ」 「未知との遭遇」 「レイダース」 と来て、続く本作で名実共にハ リウッドの第一人者と言う地位を確立したんですね。



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