レイトショーでやっている小品だけれど、観た人のコメントとか読んでると面白そうな臭いがプンプンするの
で観に行ってみたら、やっぱしコレがとんでもな面白さ! 企画の過程とか全く予備知識無しに観てたので、コレは全く
完成された舞台劇だな……と思っていたら、やっぱしこの原作は小劇場の舞台だったんですね。
それもあって気付いた
んだけれど……コレはオレが96年に東京たっちゃぶるSで上演した「10年目の交霊会」に酷似してるんですよ……。
まぁ限定された空間で人々のディスカッション型と言う「12人の怒れる男」の系譜と言えばそうなんだけど。
この限
定された全編1室内で展開される舞台設定(「キサラギ」はビルの屋上に建てられた部屋「10年目の交霊会」は地下
室)と登場人物の数(「キサラギ」は男5人「10年目の交霊会」は男3女2の計5人)そこで思い入れのある故人
(「キサラギ」は皆のアイドル「10年目の交霊会」は皆の恩師)を偲ぶ人々が集まって、ディスカッション
していくうちにその故人の死因について意外な真相が明らかになって行くと言う展開(ストーリーの進行によって自殺なの
か〜事故死なのか〜他殺なのか〜と変遷して行く筋運び)それに故人が残した遺言の言葉のニュアン
スの取り違え。メンバーの一人が警察官であること。田舎から出て来たキャラクターがいること。等々……見てい
るうちにアレレ……って思うところがいっぱいあった。
って言うかこれらが全部偶然の一致とは到底考えられない。
「10年目の交霊会」の物語の突端となる、霊媒師を装って故人の死の真実を暴露してやろうと他の人物たちを巻き
込んで行く梨明秋の役どころは「キサラギ」では素性を隠してアイドルの追悼集会を催し、アイドルを殺した容疑者
を追及しようと言う思惑だったユースケ・サンタマリアでしょう。アイドルと恩師と言う違いと、サスペンスの決着
の付け方は違うけど、基本的なコンセプトは同じだ。
そんな訳でコレはもしかして……と思って、帰ってちょっと調べてみたんですよ「10年目の交霊会」は1996年
に荻窪のアールコリンで上演してる「キサラギ」は48BLUESと言う劇団が2003年に中野の劇場MOMOで
上演してる。
確たる証拠が無い限り断定的な物言いは出来ませんけれど。この作者が「10年目の交霊会」を知っていたと言う
ことが証明出来ればなぁ。でもコレ、両者を比較して貰えれば歴然です。「10年目の交霊会」をご覧になったか台
本を読んでくれた方、是非コレ観てみて欲しいです。「10年目の交霊会」の台本はこのサイトの公演リストからも
読むことが出来ます。