「ノーカントリー」

あんまし他に観たい映画もなくて、でも映画館で何か観たくて、コーエン兄弟の作品てクセのある変化球 であんまし好きくないんだよねぇ。それでどうかなーとは思ってたんだけど、本作は今年のアカデミー 賞4部門(作品賞・監督賞・助演男優賞・脚色賞)を獲ってしまった話題作っすからねぇ。それにしてはこの何と 言う華の無さよ(失礼)んでもオイラとしちゃそこにちょいと触手を惹かれるところもあって、もう終わり間近に観て 来ました。おもろいですよーこの何と言う暗雲たるノワール(犯罪映画)な雰囲気よ! 80年代と言うなんとも 中途半端な時代設定が妙な不安定感を生み出していて、さすが変化球のコーエン兄弟! ってこの辺りは評価しますけど。 マフィアから強奪された大金を巡って殺し殺されの陰惨な展開が実にスリリングでB級感炸裂! 何でアカデミー 賞なの? と思ってしまう(失礼)今年 は他によっぽど良いのが無かったのかな(失礼)って言うかアメリカってこゆのが作品賞を獲ってしまう国だってのが 楽しいやら怖いやら。このタイトルになっている「ノーカントリー」って原題は「No Country for Old Men」訳すると 「老人の故郷はもう無い」ってな感じかな? トミー・リー・ジョーンズ扮する老保安官が出て来て、事件の中心人物 とは顔馴染みで、事件の捜査もするんだけど、周りをウロウロするばかりでいつも事後調査みたいなことばかりしている。 結局は当事者たちの誰にも接触することもなく(ニアミスはあるけど)保安官なのに最後まで蚊帳の外で終わってしま い「近頃の犯罪者は陰惨すぎて付いて行けないよ」とかぼやいて(缶コーヒーは飲んでないけど)もう年老いた自分た ちは部外者の様になってしまい、失われた故郷の良さとか、現役時代を終えてしまった男の感慨みたいなニュアンスが描か れ、それが題名にリンクしている。なのだけれど、こ〜れオレに言わせると作品の面白みには全然関係ないで すね。この作品を評価している方は皆さんこのトミー・リー・ジョーンズの感慨を言ってますけど、オレは取って 付けたみたいで全然物語に有機的に結び付いていないと思う。こんな言い方すると語弊があるかもだけど、こ の映画のテイストって結局殺し屋同士の現金争奪戦でしょ、何が感慨だよ〜気取ってんじゃねえよと言いたく なる(失礼)如何にも血生臭い殺し合いを楽しんで作ってると思われちゃアレなので言い訳の為に付けた 添え物の様にしか感じられなかった。だってコレ、トミー・リー・ジョーンズのシーンを前部カットしたって本筋の展開 に何ら影響は無いのではないかな? アクションに感慨を持ち込むのなら、昔のサム・ペキンパーじゃないけど、あくまで 本筋に関わる当事者に思いを抱かせないと伝わってこないよなぁ。た〜だ傍観者のおやじさんがが「やれやれ……」 と溜め息を ついたって缶コーヒーのコマーシャルの印象しか無かったもんなぁ。まぁそれは置いといて、ノワールと しては充分にオモロかったですよ。ただノリがね、こんなの夜中にパチパチチャンネル変えてたらたまたまやってて 観てたら面白くて拾い物したなって、そんなんでしょ。まぁタランティーノみたく開き直られてもアレだけど、 あんまし気取られてもヤな感じするよな。

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