前回の「ピーチ・・」よりずっと面白かった。今回特筆すべきは客演の馬場巧と言う役者さん。イタマ キって言うユニットの中心的な役者でキャラは立っているし、嫌味が無いし上手い！ いつものアーバンの芝居 は商業演劇と見紛うばかりの豪華なセットに一応リアリティーのある範囲で構成された物語展開でサスペンスも あるのに、謎解き等の最後のオチがいつも芝居ならではのオチャラケとかで逃げてしまうのでオレ的にはかなり 不満があった。場内が盛り上がっても結構シラッと見てしまったりしていたのだけれど、それが今回はオチャラ ケを面白さとして素直に笑って観ることが出来た。アーバン流のオチャラケ方も板について来たと言うことか、 リアリティとフィクションのバーの取り方が上手になって来たのかもしれない。今回はオチャラケがオチャラケ ならではの楽しさと素直に感じられて、逃げとは感じなかった。ストーリーは宝石泥棒に協力する運び屋の男女 （馬場巧と大友恵理）がブツ（宝石）の受け渡し場所として指定された店に深夜忍び込んで待つのだが相手が現 れず、朝になると実はその店は選挙事務所になっており、ふたりは選挙活動のスタッフと間違われて選挙に協力 するハメになる。しかし実はその候補は病気で入院した本人のソックリさんで・・・と言うふたつの話がリンク して進行して行くのだけれど、アーバンいつものパターンで、後からどんどん新しい設定が唐突に加算されて行 くので、ひとつの筋に気持ちを引き込まれている余裕が無くゴテゴテにモタついてきちゃう。いつもならこの辺 で眠気をもよおしてしまうのだけれど、今回は狂言回しの馬場巧の存在のお陰で筋が一本通っており、リアリテ ィーの無い展開に浮き足立って気持ちが着いて行けなくなるところを繋ぎ止めていた。前回から穴吹一郎がメイ ンのキャストとしては登場しなくなってしまい、なんとも間の抜けた雰囲気になってしまっていたのが、彼のお 陰で芯が通って芝居全体がちゃんと納まっている。穴吹一郎のポジションも上手く本筋に絡まずそれでいて楽し いコントの見せ場も作る位置に納まっていて、良いアンサンブルになっていたんじゃないかな。新生アーバンフ ォレストの新しいタッチとキャストのポジションが今回で決まったと言う感じ。あ、でも馬場巧はこれからずっ と出るワケではないのかしら？・・・アーバンの芝居はかつての「ホンキートンクシアター」にちょっと似てる と思ってたのだけれど、今回の閉め方とか舞台ならではのオチの付け方とかが非常に似て来ましたね、これから もっとベタな人情喜劇みたくなって行くのかな・・。