「赤糸と緑の糸と」
森組コレドシアター・パートV(2003年5月4日広尾バー・コレド)
広尾にあるコレドと言うカウンターとテーブルのある、ちょっとイケてる感じのお店を舞台設定とし、そこ
の初老のマスターと歌手デビューを夢見る従業員の女の子、そのマネージャーと常連の若い男4人で展開される
芝居。観客は実際にその場に居合わせた様な感じでカウンターの周りで観劇する、舞台は主にカウンター近辺で
行われ、カウンターの中のマスターや女の子、それとカウンターの席に座った相手と遣り取りがあって話が進ん
で行く・・・設定がその場、その時起こった出来事と言うことで語られるので平常普通に営業しているバーその
モノが全て舞台装置であり、セットを組んだりする必要がないので金は掛からないし、100%完璧なセットと
も言える・・だからリアルだし上手いやり方だなぁと関心した。だから勿論内容もそこで起こりそうなリアルな
話で、演技もどちらかと言うと映像的な芝居。バーに勤める女の子はその日お店で最後のライブをすることにな
っているのだが、マネージャーがこの先売り出すのに会っておいた方が良い人物と今日急に会えることになった
のでライブを中止して会いに行こうと言う話しを持って来るが、女の子はマスターへの義理もあるので躊躇して
いる。そこに居合わせた最近常連になった若い自動車営業マンは明日結婚するのでマスターに式に出て欲しいと
話を持ち出すのだが、マスターは断る。実はマスターはその昔その営業マンと母親を捨てて家を出た実の父親だ
ったのだ・・・結婚式に出て欲しいと言う息子とその資格が無いと断る父親。過去母がした浮気や実は彼が本当
の息子ではなかったとかイロイロ過去の問題が父子の間で遣り取りされて、それが後半の展開になって行くのだ
が・・・その過去の経緯とか父子の関係性がイマイチありがちで盛り上がって来なかった。それよりも今現在女
の子の抱えている夢やマスターとの恋愛感情の行方とか、あまり出番が無かったマネージャーも昔べーシストだ
ったそうなのだが、も少し女の子との遣り取りとかそっちの展開があった方が面白かったかもしれない、と思っ
た。父子の確執はどうしても過去の経緯に終始してしまうので、それならばもっと重大な謎解きとか事件があっ
た方が良かったんじゃないかなぁと思った。いまひとつアリガチな設定でヒネリに欠けたかなぁ・・・。でも実
際のお店を舞台としたライブなやり方は良いアイデアだなぁと思った。