「アリス・イン・ワンダーランド」
楽しかったけれど、もし3Dという付加価値が無かったら、もっと不満に
感じていたかもしれません。
でも実はコレ当初から3D映画として企画されていた訳ではなくて、昨今の3Dブ
ームに便乗する為に後から映像に加工して3Dにしたんだとか……。
何かそれって違いますよねぇ。観客は制作当時の作者の意図と違う形になって
る映像を観てるワケだから、何だかなぁと思いますね。
内容に関してはティム・バートン監督のコアなファンの方々が不満を感じていら
っしゃるのと大体同じかな。
何より物語の世界が全て現実から逃れる為の幼い頃のアリスの幻想で、アリス
は幻想の中の戦いを克服することで大人に成長し、現実世界への冒険へと旅立
って行く……って図式が分かりやすくハッキリしてるので、バートン特有の 「不条
理さ」 や 「キモ可愛いらしさ」 や 「摩訶不思議さ」 等の魅力に欠ける……と言う
ことですかね。
物語の全てが 「ああ、そうだったのか」 とスッキリしちゃうなんてバートンらしく
ない! って感じですかね。
ジョニー・デップなんてポスターになってるあ〜のキョーレツなビジュアルからし
ていつもの 「異形」 なヒネったキャラを期待してたのに、途中からなんだか普通
に良いヤツなんだもんなぁ。肩透かしを喰らいました。
つまりコレは 「ピーターパン」 〜 「ネバーエンディングストーリー」 〜みたいな、
子供にだけ見える世界、妄想の世界で冒険することで成長し、大人になって現実
世界へ羽ば立って行く主人公の物語……という位置付けですかね。
まぁ普通にファンタジーとしては十二分に楽しく観てたんですけどね。例えば悪
側だった犬の怪獣に目玉を返してやったら助けてくれて、背中に乗って走り出すと
こなんてすっごいワクワクしましたよ。
でもやっぱしオレも思うにティム・バートンの魅力とは 「バットマン・リターンズ」 の
理不尽な境遇の為に歪んだ悪役のペンギン男であり、「チョコレート工場」 のウン
バルンバのインパクトであり、「スウィーニー・トッド」 の哀愁溢れる血みどろの美し
さですよねぇ。
まぁそんなことをもし監督に言う機会があったって 「そんなら観なきゃ良いじゃ
ん」 って言われて終わりなんだろうけど。