「雨に唄えば」
この映画はタイトルの曲が流れて雨の中ジーン・ケリーがカサを振り回して歌い踊
る中盤の場面が鮮烈で曲も有名ですねぇ。
特に後にかのスタンリー・キューブリック「時計仕掛けのオレンジ」でマルカム・
マクドウェルがこの曲を歌いながら殴る蹴るの暴行する件が鮮烈でした。
なので今見てもこのシーンだけが突出した強烈な印象で本筋が吹っ飛んじゃうくらい。
このシーンは主人公がヒロインに会って楽しい時間を過ごした後で、恋のトキメキ
に身を躍らせると言うシチュエーションでした。
この映画は原題もそのまま「雨の中で歌う」だけど、全体の内容からすると特別こ
の題名でなければならない必然性はないし、この場面に絶対に雨が降っていなければ
ならないと言うワケでもない。
もちろん土砂降りの雨の中でトキメク心を押さえきれずにズブ濡れになって踊り狂
う……ということで、恋のトキメキの素晴らしさを見事に表現しているんだけど。
この映画は企画した当初からこの題名だったんだろうか? もしかしたら製作者た
ちも映画が完成して見てこのシーンの出来映えのあまりの素晴らしさに驚いて、題名
をコレにしたのかもしれません……なんちって憶測ですけどねぇ。
本筋のストーリーは映画がサイレント(無声)からトーキー(声入り)に切り替わ
る頃の映画界のお話。
サイレント映画のスター女優がトーキーになったので唄を唄うと、コレが超音痴で
ヘタクソだった(笑)なので唄の上手い無名の女優を連れて来て吹き替えの唄を唄わ
せるのだが……と言う騒動が展開する。
実際この頃サイレント映画のスターたちが声を出してみたらヒドイ声だったり、音
痴で全く唄えなかったりして消えて行った人もいたと言うから、なかなか面白い映画
の内幕をモチーフにした楽しい作品でした。