「アメリカン・スナイパー」

「ディア・ハンター」に始まる? 戦争PTSD物の最新作。まだほんのこの前の、オレ等にも身近? なイラク戦争を舞台に鮮明に描かれる。

 誰が敵やら判らないイラクの街の描写ですぐ思い出されるのは数年前の「ハート・ロッカー」アチラは爆弾処理のエキスパートを主人公にした同じようなテイストだったけど、コチラの方がずっと戦場から日常に戻ってもボ〜っと戦場の空気に包まれてしまう主人公の描写がビビットに伝わってくる。

 また戦場にいる主人公と、スーパーで普通に買い物してる奥さんが電話でやり取りをしていると、夫のいる戦場からバリバリ……ズドドド〜と激しく銃撃される音が響いてくる……こ〜の描写は鮮烈でしたね。

 予告に出てくる、海兵隊に手榴弾を投げようとしている子供を射殺する描写とか、仲間が殺されたり、相手を殺したりするのが当たり前の状況に放り込まれる主人公に、ああこんな経験したんじゃ普通の感覚に戻れないのも無理もないな……と思わされる。

 この手の映画が出て来るといっつも言われるけれど、政治的に右とか左とか分析するのはナンセンスだ。映画はそこに、その状況に放り込まれた人間を描くことに終始しているだけ。映画は意見しようとしてるのではなく、意見を求められてるのは観客の方だ。

 俳優時代からず〜っとイーストウッド作品を観続けてきたファンとしては、相手方のライバルの狙撃手を仕留める件が何だか一番のイーストウッド節が見えた気がした。

 バルト9の最前列で観たいたらも〜うそれは大迫力で、最初に出てきた戦車に踏み潰されるかと思った(笑)。


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