「アンジェラ」
フランスにリュック・ベッソンが帰って来た! と喜び勇んで行って来ました。「サブウェイ」の
衝撃から「グレートブルー」〜「二キータ」と熱狂させられていたらハリウッドに進出してどんどんダメに
なって行きましたね。それが今回純然たるフランス映画で監督脚本なんですから! なのに
まだ3日目と言うのにお客さんパラパラしか入ってないじゃん! なんだよーまぁ空いてて良いけど
日本のお客ってさーあの「グラン・ブルー」の熱狂は何処行っちゃったんだよ? まぁったく人の評判が上がって
からしか観に行かないんだから「グレートブルー」だって当初は全然入んなくって1週間で打ち切りだったん
だぜ。それが口コミで広がって「グラン・ブルー」になった。んでも「アンジェラ」はそうはならないでしょう
・・・疲れた中年男を美貌の天使が助けに来ると言う、男の
癒しファンタジーですから・・・この主人公、半分浮浪者になりかけみたいな髭ヅラが良いです、フランスのコメディアン
らしいけど、なんだか風貌がアラブ人みたいな得体の知れなさ。設定もフランス国籍の中東系だけど
アメリカに住んでたとかって訳分かんないし(笑)イメージ的にはチャップリン思い出しましたね、白黒画面やし。
白黒の効果で嘘八百のメルヘンチックな話に入りやすくなってます。ふと昔のイタリアンネオリアリズムの名画
を観てるよな気にさせられます「ベルリン天使の詩」もよぎりましたね。登場人物がみんなペラペラフランス語で
やりとりしてるとそれだけで「やっぱしベッソンはフランスやな」しゃべりのテンポがしっくり来ますね。
序盤のつかみもハッキリしていてOKだし、物語の構造がしっかりしているので気持ちが付いて行けます。
このダメダメ中年のチビ男と
はどう考えても吊り合いの取れない長身スーパーモデルのブロンドお姉さん! しかも「貴方の言うこと何でも
聞くわ」だって! キスしろと言ったらキスしてくれちゃう! 男の夢ですねぇ〜(笑)二人の身長差はまるでメーテルと
鉄郎のようだ。スラリとしてエキゾチックな顔立ちが本当に美しいですねぇ〜大女フェチとかが増えるかもで
すね。この天使様が疲れたダメ男に失いかけていた自分を取り戻させ、元気にして行くと言うお話。ダメ男が天使に抱かれ
ながら鏡に向って自分を愛することを取り戻していく場面は胸に迫ります。ラストのラストは好みが分かれるところ
だけれど、オレはちょっとヤだったな・・結末ハッキリ着けるのでなく「グレートブルー」や「二キータ」
みたく気持ちよくボカして煙に巻いて欲しかった。その方がフランス映画っぽいし。そんな男の願望を叶えた様
な作品なので「グランブルー」
みたくのロングランは無理でしょう、きっと女性には受けないでしょうから(笑)けれどベッソンもうハリウッドのウドの
大木なんか作んないで良いから小品でもこう言う心に染み入る映画をたくさん撮って欲しいですねぇ。
あと難を言えばどうして音楽がエリック・セラじゃないんだ! コレがかなーりガッカリだった。ハリウッド
でふやけて袂を分かったのかなぁ・・・セラの音楽だったらきっと倍くらい良かったと思う。しかしこの映画、壷
にハマルとかなーり良くって癒されちゃうけど、ダメな方は全然でしょうね、お客さんもパラパラだし、
観たい方は早く行かないとすぐ終わっちゃうと思いますよ〜。