「明日に向かって撃て」

 ロバート・レッドフォードと一緒に寝ているキャサリン・ロスを、夜明けに外から呼び出すポール・ニューマン「持ってけ」と応えるレッドフォード。そして自転車の "前" に乗っけて朝の牧場を走り出すと流れるバート・バカラックのテーマ・ソング!

 このタッチはそれまでの泥臭かった西部劇を一新した眩しいまでの瑞々しさ! 今観てもきっとその眩いばかりの鮮度は落ちていないでしょう。

 ピカーッと光るランタン? を馬上に光らせてドドーッと何処までも迫って来る追っ手の恐さ、崖っぷちに追い詰められてポール・ニューマンが川に飛び込もうと言ったら「俺は泳げないんだ」と言うレッドフォード(笑)拳銃を抜かざるを得ない状況になった時「人を撃ったことないんだ」と告白するポール・ニューマン(笑)

 こ〜の実在した二人組みの強盗ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの生き様の何と粋でカッコ良かったことか!

 そしてあのラスト、ストップモーションに二人の生き様が鮮烈に輝いて、無駄にストレス溜めて生きるのなんてバカらしくなりますね。とか言うと危険発言かな(笑)しかし少年だった頃観た時にはそんな思いを抱かせましたよ。

 そしてこの二人と途中まで行動を共にする女キャサリン・ロス。たまたま先に会ったのがサンダンス・キッドだったから……とサンダンスと付き合っていて、ブッチとも恋人の様に仲良しだけれど、ブッチは決してキャサリンには手を出さないしサンダンスもそれを信じきっている。

 この男2人と女1人の関係性も新しかったですね。今のドラマなら間違いなく女は男二人のどちらにも抱かれてしまうところでしょうけれど(笑)

 このならず者の時代の終わりと共に滅んで行く男たちの生き様と言うのは、同じ盗賊を素材にしたペキンパーの「ワイルドバンチ」やレオーネ「ウェスタン」もそうですけど、どれも詩情に溢れていて胸に迫る、西部劇のジャンルのひとつですね。

 ジョージ・ロイ・ヒルという監督は本作の他にも「華麗なるヒコーキ野郎」や言わずとしれた「スティング」とか傑作をいっぱい撮っていますね。


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