「バベットの晩餐会」
コレ87年のデンマークの珍しい作品ですね。グルメブームの真っ盛りで、料理を素材にした
映画も沢山作られていたけれど、オレあんましそゆのって好きじゃなかったな。伊丹十三の「たんぽぽ」
とか結構楽しかったけどやっぱ小品感があるよね、わざわざ劇場まで見に行って料理の映画? って感
があって。この作品も前にたまたまテレビでやってた時に観たのだけれど、北ヨーロッパの閑散とした
寒そうな村が舞台で、まるで日本の津軽の様な寒々しさの中で、ひっそりと暮らす人々の物
寂しい日常がたんたんと綴られるんだけれど、この村にナチスから追われた(んだったかな?)フランスの
女性が逃げて来て住まわせて貰うことになる。皆の世話になりながら甲斐甲斐しく働いてその女性は暮らし
て行くんだけど、ある日その人に宝くじが当たる。でその女性はその金を使って村の人たちに何か恩返し
がしたいと・・・実はその女性、フランスで名立たる一流レストランの主任調理人だった! で大金を
投じて高級食材をフランスから取り寄せて一流シェフの腕を振るって凄い料理を村の人たちに食べさせる。
するとそれまで北国の人特有の無口でいつも仏頂面でブツブツ喋る様に暮らしてた人たちの顔が、料理の
あまりの美味しさにゆるみ、皆別人の様に生き生きとし出し、それまで中が悪かった者同士までが楽しく
お喋りに興じ始める(笑)みたいなお話。食が人の心を和ませるこの晩餐会のクライマックスは圧巻でし
た。作り方から盛り付けまでこだわって作りこんでるんでしょうね。オレこう言う展開だとは知らずに見て
たので最初なんだか辛気臭い映画だなぁ・・・と思っていたら、ラストは意図が分かってニヤニヤ
笑ってしまいました。