「幕末太陽傳」

 本作の川島雄三という監督も日本映画の黄金時代に気を吐いた名匠の一 人。
 オレ他の作品あんまし知らないんだけど、どうですかこ〜の本作の圧倒的なパワー は!

 元ネタは古典落語で、遊郭で金も無いのに豪遊して、そのまま働いて返すからとその 遊郭に居残って働き出すという男の物語。

 主人公を演じたフランキー堺の持ち味爆発な弾けっぷりはどうだ! 流麗なカット割と たたみ掛ける音楽の使い方! サラリと登場する高杉晋作など歴史を斜に構えて見な がらの、当人のてやんでえな生き方が走り抜ける!

 川島雄三という人は病気で脚を引き摺って歩き、肺病を患って45歳で他界されたの だそうで、普段から 「さよならだけが人生さ」 が口癖だったとか……。
 そんな監督の生涯を思って本作を観るとまた深い感慨が襲ってくる。ラストシーンで は当初の監督の意向では墓参りをした主人公が走り出すと周りがいきなり現代の銀 座の街になり、その中をそのまま駆け抜けて行く予定だったのだとか!
 でも当時としては余りにも斬新に過ぎて許容されなかったのでしょうね、いや〜50年 も前にそんな発想をしていたなんて、凄いですよねぇ。

 そしてもうひとつ忘れられないのは先日ご主人の長門裕之さんに最後を看取られて 話題にもなった、遊女役で出演している南田洋子さん。
 こ〜の美しさはどうですか! 珠の様な美しさとはこのことをいうんでしょうか、出て来 る度に思わず目を見張ってしまいました。
 女優さんというのは歳を取られても他界されたとしても、こうして一番美しく光り輝いて いた姿がいつまでも残って後世の人たちにも崇められて行くのですから〜映画って凄い ですねぇ。



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