「麦秋」
世界に名だたる日本の三大映画監督といえば黒澤明・溝口健二、そして本
作の小津安二郎!
「渡る世間は鬼ばかり」 に繋がるかつて日本に定番としてあった "ホームドラマ" の原形
がここにある。
昔 "ぴあ" を片手に名画座を巡っていた頃、かの並木座で 「晩春」 と二本立てだった
本作はキラ星の様に輝いていて、白黒で傷だらけのフィルムなのに取れたての魚の様
に新鮮でした。
何故小津作品が洗練された芸術として海外でも高く評価されているのか、それは 「百
聞は一見にしかず」 ですからいろいろ言うのも野暮ですが、こ〜のワンカットワンカットの
考え抜かれた構図! おそらく顎の角度や腕の曲がり具合まで指図されていたのではな
いかと思える役者の一見不自然? な芝居! 返ってリアルに聴こえてくるお馴染み笠智
衆の上手いんだか下手なんだか分かんない一本調子なセリフ回し!
全てが小津の作品世界に結実して画面がキラキラと息づいていきます。もう〜コレ観た
時にゃ嬉しくて嬉しくて、続けて二回観てしまったのを覚えています。