「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

 若い頃バードマン(バットマン)の主役を演じて大スターになったけど、往年は落ちぶれてしまった初老の俳優マイケル・キートンが、演技派の舞台役者としてスターに返り咲いてやろうと奮闘する。

 そんな主人公のあがきが狂おしく描かれる。主人公の苦悩が観客にも伝わってくるのが良く出来てる。

 悪戦苦闘して、悩む主人公に、自問自答する自分の声としてかつて演じたバットマンのダミ声が語り掛けてくるのがナイスだ。

 そもそもマイケル・キートンて喜劇から悪役、善玉も出来る演技派で上手い役者だと思っていたけれど、そのキートンを翻弄する適役として登場するコレも久々のエドワート・ノートンが相変わらずの芸達者なところを見せる。

 こうしたショウビジネスの世界で苦しむ人間を描く映画って古くは「サンセット大通り」からカンヌで「影武者」と一緒にグランプリだった「オール・ザット・ジャズ」最近ではナタリー・ポートマンが白鳥と黒鳥の狭間で悩む「ブラックスワン」とかありました。

 この系譜で言うと、本作確かに興味深く面白かったのだけれど、やっぱし「ブラックスワン」の方が展開がダイナミックだった分インパクト強かったな。

 後で知ったんだけど、本作の監督ってあの酷かった「バベル」の人なんですねぇ、知ってたら観に行かなかったかも〜この監督さんは名声を得る企画に巡り合える強運の持ち主なのかな。

 本作はアカデミー作品賞も監督賞も取ってしまったけれど、思うに投票するアカデミー会員さんて皆さん現場の方々だから〜こうした内幕モノ的なのが好きなんですかね。オレ的にゃハシゴして観た、同じく作品賞にノミネートされてた「イミテーション・ゲーム」のがず〜と一般の観客にアピールする良作な気がしました。


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