「バットマン」(89米)
コレが流行った頃って昔のヒーローモノのリメイクが最初のブームになってた頃で、かのクリストファー・リーブの「スーパーマン」の次がバットマンと言う感じでした。
コレはコレで奇才ティム・バートンの独特な世界観がリンクした面白さがありましたけれど、昨今はやっぱしかの「ダーク・ナイト」の登場で、存在感が薄れてしまった印象があります。
けれどヒース・レジャーの汚いジョーカーが生まれたのは、あくまでここでのジャック・二コルソンのシャープなメイクを踏まえてのことでしょうから、コレがあってのヒース版……ということも出来るのではないかな。
それにしても、ヒース・レジャーの「ダークナイト」を思うと、松田優作の「ブラックレイン」を連想しますね。
最後っ屁じゃないけれど、何か神掛かった物を世に送り出してしまうとあの世に召される……みたいな法則でもあるのかなぁと、そんなこと思ってしまいます。って話が逸れましたが。
「スーパーマン」をはじめ昔のヒーローモノっていうのは、基本的に荒唐無稽だから、現代にリメイクするとリアリティ感に時代のズレがあってなかなか上手く行かないと思うのだけれど、コレが出た時にゃティム・バートンを監督に起用した人選は凄い、と言うか本人の希望だったのか? その辺の事情は知らないけれど、この独特の世界観は素晴らしかったですねぇ。
そもそもがゴッサム・シティと言う架空の街の舞台設定が既に異世界で、箱庭感に溢れてます。
決してリアルと言うことではなく、あくまでも創造された世界観である……というところがティム・バートンのタッチに合致していましたよねぇ。
作品の中に独自の世界を構築し、その中に観客を引き込んでしまう……そういうファンタジックな面白さを作るのが持ち味のティム・バートンの面目躍如ですね。
また普通に考えれば既成のヒーロー像とはかけ離れたキャラのマイケル・キートンも良かったです。
マンガなんだけど心をつかむストーリー展開と言い、コレと同監督のパート2の、異世界で展開するバットマンワールドは実に素晴らしかった。