「暴力脱獄」

 僕等が10代の頃には 「脱獄モノ」 という絶対的なジャンルがあって、果てはマックイーンの 「パピヨン」 「大脱走」 アラン・パーカーの 「ミッドナイト・エクスプレス」や刑務所じゃないけど 「カッコーの巣の上で」なんかを一生懸命に観ていました。

 そんな中でポール・ニューマンが 「この主人公を演じることに俳優として無上の喜びを感じた」と言わしめた本作もかーなり心酔した作品だったのだけれど、上記の作品群の如くビビットには何故残っていないのかと言うと……まぁそれは観てみて下さいという感じですかね(謎)。

 微罪で刑務所に入れられたニューマン演じる主人公ルークがどんなに看守に苛められても決して屈しないタフガイ振りに憧れたモノですが、こ〜の看守のイジメ方が有名になりましたね。

 それはシャベルで地面に大きな穴を掘らせて、掘り終ったら今度は土を元に戻せと言う。地面を元通りにしたらまた掘れと命令し、それを繰り返す……。
 こ〜れは直接殴ったりする訳じゃないので一見残酷な感じはしないのだけれど、考えてみると精神的には非情なダメージをこうむって消耗するというのが分かりますねぇ。
 さすがのタフガイもヘロヘロになって遂には泣きを入れてしまうという描写が鮮烈でした。

 看守の全面ミラーなサングラスも 「48時間」 等他の映画に多く引用されていました。

 そして捕まっても捕まっても権力に屈せず脱獄を繰り返すルークに憧れを抱いてついて行く脇役のジョージ・ケネディが素晴らしく、本作でアカデミー助演男優賞を受賞したんですね。

 そう、ルークの様にタフで決して屈しない男に憧れる我々凡人は皆ジョージ・ケネディなんですよ。その心を代弁したジョージ・ケネディの素晴らしい芝居に心打たれましたねぇ。

 とは言え何故にコレが他の名作脱走モノの如く、ことあるごとに観直しては勇気を貰おうと言う気にならないのか……それは観てみて下さい〜と言う感じですかね。なんて言うともうバレバレかな……。

 ラロ・シフリンの哀切極まる音楽も象徴的でした。



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