「ブラックレイン」
まぁもうコレは言わずもがなの松田優作の遺作! も〜し遺作で無かったら、一体どれだけハリウッドでの活躍を見られたかと思うと……って言ってもしょうがないけど、かのデニーロが共演を希望していたとか言う噂を聞くと、どうしても想像してしまいますよねぇ。
リアルタイムで見た時には、この作品の後で急遽するなんて思いもしてませんでした。何かまだ日本人がハリウッドの映画に出て来ると、学芸会に子供を見に来た親じゃないですけど、どこかソワソワすると言うか「どんなかなぁ、大丈夫かなぁ……」みたいな心理ってあるじゃないですか、そりゃ三船くらいにビックになればもう世界スターとして普通の認識になりますけど、この時の松田優作は本当イキナリでしたからねぇ、それが……映画が始まって登場するなり驚きましたよ、何と言う堂々振り!
何が凄いって、本人は別にハリウッド映画だから何? って感じで、極普通にアンディ・ガルシアやマイケル・ダグラスと渡り合ってるんですよ、ああーカッコ良かったなぁ!
冒頭マフィアのひとりにナイフを突き付けて「大人しくしていろ!」と凄む演技から、貫禄的に全くハリウッドなんかに物怖じしていない感じだった。それに比べてちょっと情けなかったのが建さんですね。ここでの松田優作の数々の演技やジェスチャーは殆ど優作本人が創作して監督に示したとのこと、松田優作って本人の演技力でのし上がって来た人だから、自分独自の表現と言うモノが凄かったのではないかな。
対して建さんは映画会社に作られたスターであり、建さんがどうするってよりも、周りの人たちが「建さんはこう言うモノだ」「建さんとはこう言う存在であるべきだ」と作られてきたのではないでしょうか。本人が独自の表現を作って行くと言うタイプではなかったのかもしれませんね。
この作品の建さんは自己主張と言う意味では凄く陰が薄かった気がする。特にあの剣道場でのマイケル・ダグラスとの件はちょっと情けなかったですね「高倉健はもっと強い」と言う様なプライドが欲しかったな。
建さんと松田優作のそうした俳優としての有り方の違いが凄く対照的でした。ああ〜しかし返す返すも「もっと観たかった」ですねぇ。