「ブロークバック・マウンテン」
おお〜面白かったぁ(笑)映画ってやっぱ凄いですねぇ・・ホモなんて嫌でしょ? ノーマルな人間にと
って普通には全く理解出来ないし気持ち悪いだけですよねぇ。だけどこうして上手い映画作りで面白く展開して
見せてくれると最後には切ない心情が伝わって来て思わずホロリとさせられたりする。魔法ですねぇ。近くに
男ふたりで見に来てる方々がいて、ラストには片方が号泣してるのを片方が慰めていましたね(笑)まぁその道
の方々には堪らない作品だったでしょうねぇ・・。美しい山々の中で牧童に雇われた男たちがずっと二人っきりで羊
飼いの仕事に着く。他に話し相手もいないので自然とお互いの境遇や人生を語り初めて、そりゃ嫌が上にも心情
は移って行くでしょうねぇ、でも肉体関係は結ばないよなぁ! って思うけど、そこはギリギリでしたね(笑)
イヤ絶対オレは嫌だけど、でも「あぁ・・そんなこともあるのかなぁ」とチラとでも思わせなければ絶対面白く
ならないからねぇ。この映画の上手いところは広大な山々に囲まれて絶対二人きりの世界にして、お互いが心
を通わせて行く過程が観客にも心情的に伝わる様に出来ていること。それでもやっぱり肉体はヤだな・・と思う
んだけど、ちょっと「友情の延長線上」的なギリギリの範囲で付いていける様になっていたね。そして「やって
しまった」ことを片方は「一度きりの過ち」にしようと言い、もう片方は「ずっと一緒に暮らしたい」と言う
痴話喧嘩が始まって・・とこの辺は男女の恋愛と極同じ。つまりこの映画の新しい点は「男の友情」と「男女
の愛憎」が入り混じってひとつのストーリーとして展開していることかな。人間と人間の愛憎の新しいパターン
が鮮明に映し出されてるんですね。そしてふたりで過ごした思い出の「ブロークバック山」を下りた後、男たち
は別れてそれぞれに異性と結婚して子供も出来て、それぞれの人生を順調に歩み始めたと思っていたら・・夫婦
の問題や仕事のこと等で様々に行き詰まり、その度ごとに思い出されるのはあの美しいブロークバック山の風景
とアイツと過ごした日々のこと。4年後に再会した二人はいきなり抱き合ってデュープチューしてそれを奥さんに見られ
ちゃう(笑)それで片方は離婚して娘も取られて男ひとり惨めに老いて行き、もう片方は・・・ってあんまし
ネタばらしても何なのでやめときますが。人生の様々な困難に遭って、ストレスも溜めて、何もかもにウンザリ
しつつも人生を生きてかなきゃならない。その辺は私達と同じですねぇ。そしてやっぱり二人で過ごしたあ
の山のことが忘れられない、「オレの人生をこん
なにしたのはお前のせいだ!」と罵っても、人生で一番愛してたのはあの男だった・・・。こんな展開なのに
最後は本当にホロリと泣けてくるんだから凄い! そりゃやっぱし新しいですよ、コレは! 同性愛者の男同士
の話って、古くは「蜘蛛女のキス」「トーチソングトリロジー」とか最近では「ブエノスアイレス」とか「バッド・
エデュケーション」とかあったけど、この作品の様に男ふたりが最初はどちらも全くそうは見えないカウボーイ
同士が、まるで同性愛と言うイメージからは相反する様な広大な美しい山々の中で、男の友情から発展する同
性愛と言う視点が新しかったんですね。展開が本当に面白く出来た作品でした。