「シカゴ」

 その年「戦場のピアニスト」を退けてアカデミー作品賞を取った作品。

 周りの人の評判を聞いてみると「詰まんなくって30分で出て来た」とか「スッゲェめちゃくちゃ面白かった」とか……極端に賛否が分かれましたね。

 前から見たかったし、自分の目で確かめるしかないなぁ……と思って行って来ました。

 そ言えばテレビ「虎の門」で人の映画ばっかし攻撃してる井筒和幸さんもこの映画ボロクソに言ってましたけど(笑)。
 で結論としてオレは結構面白かったなぁ……コレがハリウッド本場のショービジネスの実力だぁ! と言わんばかりの絢爛たるダンスシーンのダイナミズム! アレヨアレヨとテンポよく進んで行くストーリー展開。

 でも、井筒さんや他の批判的な方の意見も分かる。まぁ井筒さんとかは古いから、昔の楽しい楽しいミュージカルってぇのとの違いはさて置き。昔のミュージカルみたく普通に話してた人が突然唄い出すのではなくて、本筋のドラマと歌と踊りの描写が明確に分けられている趣向。
 まずこれがダメな人はダメでしょうね。オレは結構ノッて見てましたけど。

 しかし……話の展開は面白いし挿入される歌とダンスのシーンはどれもスゴイのだけれど、いかんせん毎度毎度のダンスシーンが定期的に同じテンポで入って来る繰り返しには途中ちょっとダレる。

 話の展開が早いのは良いのだけれど、その分登場人物たちの心情的なモノはちっとも伝わってこない。

 井筒さんいわく「もう少し落ち着けよ」て言ってたけど、それはオレも思いましたよん。

 やっぱり物語の展開ってのはまるっきり一本調子でなく、時に緩急織り交ぜて派手な見せ場はドーンと早く、じっくり見せるとこはじっくり見せる……みたいにしなきゃ観客は感情移入していけないよね。

 なにしろ後半見せ場の裁判のシーンもリチャード・ギアのタップ(これは怪しかった、顔と脚がカットバックで……ホントに踊ってたんか?)で、相変わらずの早いテンポでスラスラスラっと流れて行っちゃう。

 確かに物語りは波乱もあって女同士の戦いとか面白いんだけど、心情的に伝わって来る部分が弱いよね。

 最後にペアを組むライバルの女だって仮にも実の妹と自分の夫を撃ち殺している訳でしょう、まぁ本人もどんなに悪い女なのか知らんけど、全く全然平気の平左ってのもねぇ……。

 最後はショービジネスの毒の花咲き乱れ、絢爛たるエネルギーとパワー溢れる二人の踊りは素晴らしかった。楽しめたけどでも……って感じかなぁ。

 でもオレこれどちらかと言うと……好き(笑)。



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