「超訳 ハムレット」

楠美津香Lonely Shakespeare Drama(2007年9月11日タイニイアリス)

 前からチラホラ噂は伺ってたんですが、人に勧められて観に行って来ました。

 この楠美津香さんと言うお方、日本映画学校の出身でお笑いコンビや放送作家等を経て、 何とひとり芝居でシェークスピアをやってしまうと言う。
 どうやるのかな……と思っていたら。板付きの黒板があって、最初にザッと大筋や登場 人物の人間関係等を説明してしまうんですね、それと一人で全キャストを演ずるに当たっ て分かりやすくする為の約束事とか(例えばある人物は必ずパイプを加えてるとか、また ある人物はいつも両手でこのポーズを取っているとか)でストーリーが始まると美津香さ んは講釈師よろしく釈台? に立ってたまに拍子木? みたいのをパチンパチンと鳴らし て場面転換させたり、演ずる人物を替えたりしてハムレットの物語を進めて行くのだ。

 まぁこの方サイトを見せて頂いたらオイラよりちょっと年上なんですね、しかしこの元気、 このキレの良さで全編やり切ってしまうところには敬服してしまいます。
 確かに超訳と銘打ってあるだけあって原版のニュアンスを現代の若者が使いそうな言 葉使いに置き換えてみたり、シェイクスピア特有の長ったらしいセリフを簡略に一言で済 ませて笑わせてみたりと、出来るだけ分かりやすくする工夫をした上に講釈の形式を取 っているので素の説明も入って楽しく観られます。

 本当シェイクスピアの世界を知りたいけど、ちょっと取っ付き難くって……と言う様な方 には良いかもですね。趣向が変わってて面白かったんだけど、で〜もやっぱし良くも悪 くもシェイクスピアですね。当然ですけど、どこまで行ってもシェイクスピア。
 楠さんはこの "ひとりで演じる" シェイクスピアをライフワークの様になさってて、他にも オセローやリア王やリチャード三世等を連続して上演しています。
 世の中シェイクスピアを知らない人も嫌いな人もそうはいないでしょうから良いとも思う んですけど、見てて思ったんですよねぇ、や〜っぱしオリジナルが観たいなぁと。
 生意気ですけどどんなに面白くっても素晴らしくってもやっぱしシェイクスピアですよ。 美津香さん専用のオリジナル一人芝居が観たいですね。いやそれくらい素晴らしく多彩 な表現力やキレがあったのでそう思ったんですけど。

 それとコレを言っちゃご本人は不本意かも知れませんけど、途中何曲か入った泣きの ギターの弾き語りが一番素晴らしかったです。ともあれ楠美津香さんは今後もひとりシ ェイクスピアを各地で連続講演して行くみたいなので、興味のある方観て損は無いと思 いますよ。



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