「ダークナイト」

 バットマンシリーズは劇場で見たことなかったんだけど、こ〜れは観た人のレビューが余りにもそそる物ばかりだったので行って来ました。

 面白かったですよ♪ ティム・バートンが作った映画版バットマンの世界観を前作の「ビギンズ」で仕切り直したシリーズの第二弾と言うことですが、これまでの作品を一掃する程の突出したボルテージには圧倒されます。

 アイマックスのカメラで撮影されたと言う映像の鮮明度と、たかが拳銃一発撃つだけでこんな轟音出さずとも……と言うくらい響き渡る大音響、いつものハンズ・ジマー節炸裂なカッコ良い音楽に乗ってアレよアレよと展開するハイテンションな筋運びは、もちっと整理した方が……とも思いますが、片時もボルテージを落とさない為の苦心のシナリオだったのでしょう。ちょっと昔大森一樹の「ゴジラVSキングギドラ」を思い出した。

 確かに誰かがレビューに書いていた「バットマンとジョーカーの対決をもっとシンプルに見たかった」と言う向きも分かります。

 オレは原作の話を余り知らないのであのハンサム検事さんがトゥーフェイスになってしまう展開に驚いたのだけれど、ジョーカーとの対決をシンプルに描くなら蛇足? だった様な気もする。

 ゴッサムシティの市民たちの希望の芽を摘まない為にバットマンがトゥーフェイスの犯した罪を被ってダークナイト(闇の騎士)になると言う痛烈なラストの為に必須なキャラだったのかな。

 オレ「ダークナイト」って「暗い夜」だとばかり思ってたので(笑)余計にラストで題名の意味が分かって感じ入ってしまった。

 ヒース・レジャーのジョーカーは何でこんなヘタクソで汚いメイクなんだろう。と思ってたけど、御大ジャック・ニコルソンのクリアーなメイクと芝居に対抗する策としていろいろ思い悩んでの結果だったのかな? きっとそれもあってのあのリアルな芝居になったのでしょう。

 皆さんおっしゃる様にこ〜のジョーカーのキャラクター造形が実に味わい深く、役者を目指す者が見れば役作りと言う観点からしてゾクゾクする様なエモーションを感じるのではないかな。

 確かに全編通して彼の存在感が一番印象に残るし、無理な展開も突っ込み所も彼の存在が全てを納得させてしまうって感じですね。

 CGの使い方もオレいつも文句言うんだけど、本作はCGを駆使することでアナログで重量感あるアクションをリアルに表現することに成功しています。

 見せましたねぇ〜特にバットモービルとトレーラーのチェイス〜バイクだけ切り離し〜一連のアクションはもう最高に楽しかった(笑)。

 バットマンのアメコミで書き割りな世界観はクリストファー・ノーラン監督が前作で見せた劇画チックな世界より、ティム・バートンの構築したちょっとファンタジックな世界が合っていると思っていたのだけれど、今回完全に劇画ハードな世界へぶっちぎってしまいましたね。

 こんな言わば「被り物」をここまでクール&ハードなリアリティにまで持って行った力量と言うか、作品に賭ける熱意と言うか、関わったスタッフやヒース・レジャーを始めとする役者陣もそうですけど、なかなか見せる作品に仕上げましたねぇ。

 驚くことにヒース・レジャーは享年28歳! だったそうで、オレ「ブローク・バック・マウンテン」の時から既に30代中盤くらいかと思ってたんですけど。役作りで精神的に自分を追い詰めてしまったんですかね、多量の睡眠薬を常用していたらしいですけど、勿体無いですね。合掌。



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