「デッドロック」

近頃映画情報誌と言った類いのモノをまったく買わないのでうっかり見過ごすところだった ・・・これはウォルター・ヒルの新作だったのだ! 先月の20日にひっそりと? 始まって明後日 の金曜(9日)で終わり、わずか3週間で打ち切り! なんだねぇ・・・危なかった、オレとしたこ とが見逃すとこでした、テレビとかでもあんまし宣伝しなかったのかな? コレを見ずして何を見る と言うのだ! 刑務所の中で囚人同士がボクシングの試合をすると言う設定! なんと言うシンプル かつ血沸き肉踊る、かつてのシンプルイズベストなヒルらしい状況設定なんだ。冒頭から期待が高ま って興奮状態。平日夜の回なのに映画館には7〜8人しかお客さんいなかった・・・ヒルってあの翻 案迷走作「ラストマン・スタンディング」以来なんだね、って言うか暫く音沙汰ないからもう新作は 見られないのかと思っていたから嬉しかった。かつてヒルの映画をヨダレ垂らしながら面白がってい た頃のタイプの作品だし。楽しかった、しかし正直昔の様な独特の編集リズムやひたすら黙って行動 する男描写のカッコ良さはそれ程見られなかったかな・・・一夜を共にした女にレイプされたと訴え られて刑務所に入って来たヘビー級チャンピオンと言う設定がまんまタイソンで、その事件の真偽は 問題ではなく、終身刑で服役しているかつてのチャンピオン、レズリー・スナイプスと彼との闘いを 男対男の闘いとしてラストに展開して行く。面白い設定なんだけど、正直イマイチ盛り上がらんかっ たなぁ、さすがにヒルももう御大なのかなぁ・・・配役もスナイプスは決して悪くないと思ったのだ けれど、相手役はまぁタイソンを彷彿とさせる顔つきではあるけれど、イマイチかなぁ・・そんなに タイソンを意識しなくとも、かつてのウィレム・デフォーやジェームス・レマーの様な鋭いインパク トの方が良かったかもだな。まぁこの作品は単に善と悪と言うのでなく、共に自分を闘士と自認する 男と男のぶつかり合いみたいなモノに主眼が置かれていることもあるだろうけれど。ピーター・フォ ークも良いんだけど何か今ひとつだったなぁ・・・マフィアのボスってだけじゃなくてもうひとつ何 か欲しかったかなぁ・・・って気がした。もっと刑務所で出会ったふたりのチャンピオンが戦うまで の遺恨みたいなの仕込んでも良かったかもしれないな。でもまぁ、ヒル好きの人なら十分に楽しめま すよ、ってもう終わっちゃうんだけど。小品だけど、ヒルのテイストが堪能出来て嬉しかった。70 年代のアクションテイストを継承する数少ない映画監督だから、今回一番思い出したのは初期の「ス トリート・ファイター」だったなぁ、アレも確か孤高のファイターのお話だったよなぁ・・・ああ〜 もっともっと見たいなぁ。スナイプスが独房で作ってる竹細工の模型みたいなの見て「オッ!・・も しやアレは・・」と思ったらその時スナイプスが作ってたのは日本の神社みたいな模型でした。でも ラスト、またスナイプスが作ってる竹細工は「ゲッタウェイ」でマックィーンが作ってたまさにソレ だった・・「やっぱしなぁ」人気のない映画館でニヤリとほくそえむのが映画ファンの楽しみかもし れないねぇ(悲笑)



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