「ダブルボーダー」

公開当時コレを観た時はガッカリした! 当時乗りに乗っていたウォルター・ヒル監督に主演が「48時間」のニック・ ノルティで期待するなと言う方が無理だった。と言うより期待しすぎて失速したと言うべきか。この作品は誰にも感情移入出来 ないしそもそも登場人物たちのやりたいことや目的が今いちビビットに伝わって来ない。観客は最後まで蚊帳の外。当時は脚本 のジョン・ミリアスのせいにしたものです、ミリアスは当時「若き勇者たち」とか好戦的でタカ派な映画ばかり作っていたしね。 この作品もやたらと銃を撃ちたがる、爆破したがる、クライマックスはまるでサム・ペキンパー「ワイルド・バンチ」この映画 はコレをやりたかっただけなのかと思う程ペキンパーを真似たストップ・モーションの描写を使ったりしている。でも滅びの哀 愁がある訳でも男の対決に宿命的な経緯がある訳でもない。いつものウォルター・ヒルの男の美学を期待してみると全くの肩透 かしであった。ただジェリー・ゴールドスミスの音楽が素晴らしく、CDを買ってしまった。軽快でちょっとラテンで、でも勇 壮なこのサントラはもし映画の出来が良ければスミスの傑作になったんじゃないかな。だけどこの映画、サントラが好きと言う 理由だけで数年後に見直した時、結構面白く観たんだよねぇ。主人公のノルティと敵役のパワーズ・ブース、それに傭兵部隊み たいなのが絡んで三つ巴みたくなるんだけれど、ストーリーはまるでリアリティが無くてマンガみたい。でも非現実な空想の戦 闘地帯の男たちの世界観に乗れれば面白いのかもしれない。まぁ無理に面白がることは無いんだけどね(笑)でもコレ度々テレ ビで放映されてるから、結構人気あるのかもしれませんねぇ。



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