「Dr.パルナサスの鏡」
ひ〜さびさ〜の楽しい楽しいテリー・ギリアム作品! 確かもう70歳超えてる
ってのにこのぶっ飛んだイマジネーションの広がりはどうですか!
今回の作品はジョニー・デップが出てるということもあって、予告とか観るとティム・バ
ートン監督の作品と感じが似ていますねぇ。
バートンのキモ可愛いキャラや極彩色の箱庭的な世界も楽しいけれど、ギリアムはド
ーンと突き抜ける様な空間の広がりで魅せますね。
あのインチキ見世物小屋みたいなのが大きな馬車になっていて、馬に引かれて現代
の街を旅してるのが面白いですねぇ。そんで 「パルナサス博士の鏡」 なる木枠に銀紙貼
っただけみたいなのに入ってくとパァーっと幻想世界が広がっている楽しさよ♪ 昔夢中
になって読んだ洋物の絵本みたいな感じですね。
しかしギリアムって例の 「ロスト・イン・ラ・マンチャ」 といい、今回のヒース・レジャーの
件といい、不運な監督ですよねぇ。一度お払いでもしてもらった方が良いのではないか
と思ってしまう。
しかして本作は撮影途中で急逝したヒースの役を、鏡の向こうでは顔が変わるという
設定でジョニー・デップ〜ジュード・ロゥ〜とあともう一人が繋いで演じて行くという趣向
になっているんだけど、コレは観ていてちょっと感動というか、お得感がありました。
オレそんなに好きじゃないんだけど、ヒースの役を引き継いだ三人の中ではやっぱし
ジョニー・デップが一番華がある感じしましたね。
とはいえやっぱし思うのは、最期までヒースが演じていたら……ということ。ヒースがい
なくなったことで脚本も変わっているのだろうけど、前半本人が演じていたキャラクターっ
て、後半 「ただの悪党でした」 って単純な役作りでは無かったと思うんだよなぁ。
当初の予定では後半どんな展開だったんだろう……それはもう分からないことなんで
すけどねぇ。
それと馬車で興行の旅を続けてる座長? であるパルナサス博士の風貌はメイクとい
いどうも唐十郎を彷彿とさせるなぁと思っていたら、この人がクリストファー・プラマーだっ
たんですね、出てるの知ってたのに最期の方まで全然分からなかった(笑)。
それと全然知らなかったんだけど、娘役の女の子、ちょっと不思議入ってて可愛いです
ね、この子のキャラもティム・バートンを彷彿とさせました。
本作は物語の意味とか構造を分析すると不明瞭だとか底が浅いとかいろいろ言われて
いますけど、本来ギリアムの作品ってテーマとかその構造とかを的確に説明しようとして
も出来ない、不思議さと言うか不可解なところが魅力でもありますよねぇ。デビッド・リンチ
程ではないにしろ。
オレとしては本当子供の頃に読んだ西洋の不思議な絵本の世界へ心身ともに浸かって
行ける、実に楽しい "見世物" でした。特に幻想世界の "巨大竹馬" 大笑いですよ。
「アバター」みたく3Dで飛び出さなくてもイマジネーションと言う意味でまた違った広がりを
見せてくれて。いや〜楽しかったですよ。