「独裁者」

 コレはチャップリンが如何に凄いか! を物語る時必ず引き合いに出される 作品ですねぇ。

 独裁者とは言わずと知れた第二次世界大戦時ナチスドイツを率いたヒットラーなんだけど、 チャップリンはヒットラーと同い年だったらしいですね。

 で、何でこの映画がそんなに凄いかというと、こういう後に悪人のレッテルを張られた人物 を後の視点で描くことは他にもいろんな作品があるけれど、本作はまだヒットラーが現役 のバリバリで、しかも世界的には好感を持って迎えられていた時期に、チャップリンはヒットラー の欺瞞を見抜き「こいつは大した役者だ」と言って作ったという。

 そして自らヒットラーを演じて見せて、正体を暴いたこの映画を、当のヒットラー本人も 観たという! ちょっと凄いと思いません? その時のヒットラーの反応ってどんなものだった のか知りたいですよねぇ。

 映画はヒットラー(名前や国名は変えてあるけど)と、差別されて酷い目に遭う街の床屋さん をチャップリンが二役で演じていくのだけれど、ラストシーンでは独裁者に間違われた床屋さん が、市民の怒りを代表して6分間もの演説をぶつという、自らサイレントの形式を破り、初めて チャップリンが自分の声で語りかけて映画が終わるのだ。

 シナリオのセオリーからすれば、ラストに主人公が演説をぶつなんて禁じ手中の禁じ手です けど、ここではメッセージの真摯さに心を打たれますね。誰にも真似出来ませんけど。



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