「ドーン・オブ・ザ・デッド」

ガチャガチャうるさい映画だなぁ、と言うのが一言な印象。面白いと思ったのは本家ジョー ジ・A・ロメロの創造したシチュエーションの素晴らしさの魅力のみ。それをCGを駆使してグレー ド・アップした点のみが見所であった。子供騙しのヘタクソな脚本。セオリー通りに作れば良いと言 うモノではないけれど、極限状態モノで人間が浮き彫りになってこないってのはどうよ? その意味で は同系統の「28日後」と雲泥の差がある。「28日後」の方がよっぽどロメロ三部作のテイストを 踏襲していたと思う。なんであんなに登場人物を増やしたのか??? その必要性はラストに走らせ るバスを2台にしたかったから以外に考えられない。途中どれが誰やら分からなくなるくらい無意味 に人物が多い。だから誰が死んでもそれ程の感慨も沸かない。スーパーの警備員のボスの人格の一貫 性の無さ! 嫌なヤツがいつの間にか良いヤツになってるし。胎児の件は醜悪でグロいだけ、それだ けでも低俗でくだらないモノを観ちゃってる印象になった。それに今流行りなのか知らんけどカメラ をブン回し過ぎでその上いらん加工までしてるので全くリアリティ無し! 映画ならではの「その場 にいる様な臨場感」が消し飛んで全く映画世界に入り込めなかった。クロサワがかつて「観客にカメ ラを意識させたらおしまいだ」と言っていたらしいけど、その意味がつくづく良く分かる。ロメロの 「ゾンビ」は単にB級ホラーと片付けられない何か崇高とさえ感じられる様な奥ゆかしさがあった。 そもそも映画と言うモノに対する姿勢が違うノダ。ロメロ以降「サンゲリア」や「バタリアン」等、 数々のゾンビ物の亜流を生んだけど、どれも「不真面目」と言うか「面白いけど本当に恐くはない」 映画ばかりだった。本当にマジなのはロメロだけだ……と言う思いを持っていた。ロメロにとって ゾンビ三部作はジョージ・ルーカスのスターウォーズ三部作と同じくらいな思い入れあるライフワー クだったのだ。ゆっくりだけど確実に迫って来る薄気味の悪い恐怖、フィクスのカメラで淡々と捕ら えた歩く死体たちの描写の言い知れぬリアリティ……やっぱりゾンビはゆっくり歩くことにゾンビ たる所以があったのではないだろうか。



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