「ダストシューター」
カプセル兵団(2003年5月5日大塚萬スタジオ)
スターウォーズとガンダムとターミネーター2を合わせた様なストーリーを演じる役者達は全て集団パント
マイムでスペクタクルなシーンを表現していく。宇宙の戦闘やロボットを、時にスクラムを組んで巨大な宇宙船
を表現したり、巨大で変幻自在な生物等も皆で固まって手を回りにクネクネ動かしたりして表現して見せる・・
・と言う趣向の芝居。光線銃の音や爆発音、その他宇宙基地のドアが開くメカニックな音や、怪物が変形する音
等は全てSEで表現される。しかもそのマイムの表現があったかと思うと次の瞬間役者は各々が演じる登場人物
になってセリフを吐いたり、この芝居を全てマスターするまでの稽古は一体どんなだったろう・・・と苦労が窺
い知れる。んでも何より大変だったのは全編絶え間なく使われるSEを操る音響オペレーターの人だったんじゃ
ないかなぁ、なにせ格闘シーンのドスッ! バキッ! まで全部入ってたから、照明も含めて場当たりにずい分
消耗したのではないか(笑)見てると良い大人たちがSF宇宙船ゴッコに夢中になってるみたいで楽しく、時に
自嘲的な笑いもあって面白いんだけど、んでもあんましそれも長く続くと飽きて来ちゃうかもだよね。ストーリ
ーはその昔。自在に変化して周りの生命体を吸収しつつ永遠に生き続ける金属生命体(ターミネーター2の悪役
みたいな?)の研究をしていた博士がその生命体に自分自身を乗っ取られ、以来他の惑星を襲って滅ぼしたりし
て世界の脅威となる。んでその博士の恋人が同じく博士の研究していたもう一つの永久生命体になって博士が変
形してしまった生命体と何千年にも渡って戦いを繰り広げている。そんな中で題名にあるダストシューターなる
宇宙の賞金稼ぎたちと知り合って、果ては宇宙全体を武力で統一しようと目論む中央政権(だったかな?)もそ
の生命体の力を利用しようとして物語に絡んでくる・・なんて壮大な物語が展開して行く。芯にはその昔脅威の
生命体になってしまった博士と、それを殺す為に自分も永遠の生命体になって追い続ける彼女との悲恋があった
りする。結構ホロッときたりして面白かったけどちと長かったかな・・。途中で味方だと思ってた科学者が実は
野望を持ってて密かに新しい生命体のクローン軍団を作ってたりとか・・は蛇足だなぁと思った。器用にマイム
で戦闘とかを表現する楽しさも、あんまし長く続くとダレは否めなかった。そもそも最初からこのノリに付いて
いけなかった人はキツかったかも(満員の観客席の中から途中退場してしまった人もチラホラ)んでもオレは楽
しかったよ。途中仮面ライダーや懐かしいヤッターマンのパロディとかもあってコワザも効いてた(笑)なにし
ろよくもこれだけ壮大な宇宙の話を集団マイムでやってしまうもんだと驚いてしまった。ってかストーリーだけ
聞くと作者はきっとコレ本当はCGを駆使した映画かアニメでやりたかったんじゃないのかなぁ・・と思う。そ
れが出来ないから舞台でこういうやり方で、なのかもしれない。でももし映画にしても、それ程斬新で独創的な
ストーリーとは思えない。これはやっぱし殆ど素の舞台で、マイムでSEを駆使してやったから面白かったんだ
と思いました。