「ヰージー・ライダー」
ヰタマキ♯9(2003年8月22日中野・ザ・ポケット)
上り調子で人気のある劇団井タマキ(ホントは井と言う字は違う字なんだけど出し方が分からん)の第9回
公演。魅力的な役者さんたち、大きな劇場、立派なセットや音響効果・・・んでも台本がイマイチだったなぁ・
・・・・かつて暴走族だった仲間たちが大人になって、死んだリーダーの葬式に集まってひと悶着・・って話な
んだけど、まぁこれがなんと盛り上がらないこと! それぞれ大人になって、仕事とか結婚生活とかのしがらみ
があって、でも最後にはやっぱり仲間だ・・ってなアリガチな展開なのは良いのだけれど・・それにしちゃあな
んとも作劇のセオリーからして足りないモノが多いと思う。まずなにより昔の仲間が集まってからの描写の退屈
なこと! 何がしか事件が起きるとか興味を惹く謎を提示するとかせずに助長的な会話で皆の現況を語らせ合う
ばかり・・その後ようやく起きてくる本筋らしき事件もぬるくそれ程の一大事と言う程でもないのでちっともサ
スペンスになってこない。最後は仲間内で昔の仲間が大事なのか今の仕事が大事なのかと言う喧嘩になって、そ
れをリーダーの幽霊が仲直りさせるんだけど、その喧嘩もそれぞれの生きて来た人生とかを反映しての対立では
なく、タマタマその場で起きたちょっとした小競り合いな印象なので仲直りしてもそれ程胸にジンとは来ない。
そもそも致命的なのはかつて仲間だった頃、暴走族時代へのノスタルジーが全く今の状況にリンクして何かを取
り戻すみたいな構造になってないこと。そもそも暴走族なんてやかましくって危ないだけで、一般的にみれば鼻
つまみ者的な集団なのに、それに郷愁を訴えられたところで、何か特別な出来事なりを設定しない限り観客の共
感を呼ぶのは無理だ。あのオープニングのちょっとしたボケとまぁ楽しい感じの仲間たちの描写だけじゃキツイ
よねぇ。