「エクソシスト」
1973年のウイリアム・フリードキンの社会現象を巻き起こした特大ヒット作品。
全くこの時の日本中のフィーバー振りは近頃のCG超大作等は問題にならないくらい凄かった。
当時見に行った人の話を聞くと、朝一番で観に行ったら後から後から観客が押し寄せて来て、映画が終わっても外に出られず! 結局一日中最終回まで4回観てしまったとか。
この映画の凄いところは、悪魔払いと言う行為を微塵も絵空事とは捉えず、現実に起きた事件をリサーチして徹底的なリアリズムにこだわっているところだ。
まずは少女リーガンに起きた異常な状態を医学的に解明しようとして、血液を採取したりするのだが、どんな検査を行ってみても原因が分からない。
藁にもすがる思いで母親がそれこそ "神頼み" とばかりに神父さんに相談するのだ。
それに悪魔払いを行う時には、必ず精神医学者を立ち会わせなければならない、という決まりがあったりと、おそらくマジにこういうことをやっていると思われるリアルな描写の積み重ねが "ホントらしさ" を高めて行く。
そりゃ今の発達したCGの描写に比べれば、首がクルリと回転したりするのが楽しかったりもするけれど、当時は仰天のショック描写でした。
それと神父が二人で呪文を唱えながら聖水を振りかける場面では、昔竹中直人が "銀座ナウ" で物真似してたの思い出します(笑)。
そ〜してこのラスト! 少女を助けた神父の首元に光る白いカラーには、観客も本当に神々しさを感じて眩しさを覚える。
そして助けて貰った少女がカラーにキスをすると、もうジ〜〜〜ンと感動が胸に広がって行く。
他のオカルト物や恐怖を売り物にしたどの作品にも、この作品の様なラストの言い知れぬ感動は味わえない。
このメリー神父を演じたマックス・フォン・シドーの何と言う淡々と、当然の使命として悪魔払いに挑む真実味溢れる演技! でも本人は後のインタビューで「あんなこと本当にあるわきゃあないよガッハッハッハ」と笑っていたと言うツワモノ(笑)
コレは本当にフリードキンが細部にまでこだわった、悪魔払いと言う本当にあった話に、真正面から真剣に取り組んだ凄い映画だ。