「ファミ☆レスー幸福のレシピを求めてー」

ミュージカルギルド 第3回公演(2008年10月2日野方区民ホール WIZ)

 アマチュア公演の小規模なミュージカル公演……って殆ど観たことが無かった ので、どんなもんだろう……と思っていたのだけれど、ファミリーレストランの店内を再現 した見事なセット。
 始まったらその上に仕込まれた回転舞台が回りだすではありませんか! 演奏も大型 のキーボードを2台配しての生演奏にオリジナル楽曲! 4日間の5公演にしては何て本 格的なんだ! と驚かされた。

 内容はまぁよくあるファミレスで働く店長を始めそれぞれの事情を持った店員たちと、訪 れるお客さんたちとの日常を描きながらチョコチョコとドラマが展開して行くと言う物。

 しかしミュージカルの本分である唄と踊りが思いがけず(失礼)素晴らしかったので、最 後まで良い気分で観切ってしまった。
 特に子育ての苦労を愚痴りながら気丈に働くパートのおばちゃん役の石村麻子さんと言 う方。歌い出したらジュリー・アンドリュースですよ!
 その風貌と役柄からは想像もつかない(失礼)美声が流れ出した時には目を見張って 拍手してしまった。

 しかし全編楽しい唄と踊りで綴るほのぼのとしたテイストは良く言えば安心して観られる けれど、ドラマとしては物足りなかったかなぁ。まぁファミリーレストランの日常と言うことだ から、それ程劇的な展開は望めなかったのかもしれないけれど、そこだけが惜しむらくか なぁ。
 オレもかつて長いことレストランのバイトをしていたことがあるので、オチャラケたアルバ イトたちを相手に店舗を運営する店長さんの孤独とか、たまに店舗をマネージャー(ここで はスーパーバイザー?)さんが見回りに来た時の緊張感とか分かるので、その辺でもう少 し突っ込めたかな、とも思ったんだけど、あまりリアルに現状を再現しても地味で辛い展開 になってしまうから。難しかったのかもしれませんね。

 とは言え売り文句通りほんのり暖かな気分になれるとても楽しい作品でした。



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