「フォロー・ミー」
こぉ〜れはもう可愛らしくってチャーミングで胸キュン(死語?)で粋でオシャレで
ウィットに飛んだ大〜好き作品です!
「第三の男」のキャロル・リード監督! 元祖「007シリーズ」ジョン・バリーのフニャ気た様で
メロディアスな音楽は聴いているうちに段々幸せな気分が込み上げてきて、最後にはニヤケ
てしまいます。
原作はかの 「アマデウス」 「ブラックコメディ」 の大御所劇作家ピーター・シェイファーの舞
台劇 『公衆の眼(The Public Eye)』 それを映画用に作者自らがシナリオ化!
内容は、妻の浮気を疑っている富豪の男が私立探偵に妻の素行調査を依頼しに来る。
探偵は、暇を持て余している孤独な妻がロンドンの街を歩いて映画館やカフェや遊覧船
に乗ったりして過ごすのを尾行して行くのだけれど、マヌケな探偵のバレバレな尾行の為
に妻は気付いてしまう。
けれど孤独な妻は知らん振りして、後を付けて来る探偵を面白がる。そして毎日尾行
して来る探偵とお互いに言葉を交わすこともなく奇妙なデートをしている様な状況になる…
…。
こ〜のシチュエーションが何とも微笑ましくて楽しい楽しい♪ 探偵が後を付けているのを知
りつつ目を輝かせて怪奇映画三本立てを観てたりする妻役のミア・ファーローが何とも可愛
い(笑)
この映画を知った後、原作の舞台劇を観る機会があったのだけれど、こ〜れが舞台と映
画を見比べてみると目からウロコの何という素晴らしい脚色!
映画版はこの二人の奇妙な道連れがロンドンの美しいロケーションの中で繰り広げられ
るのだけれど、舞台版ではロケーションなんて無い訳で、全編探偵と、富豪の夫と、妻と、
三人だけの一場劇。舞台上で探偵が夫に妻が何処へ行って何をしていたのかを報告する
という形で進行する。
舞台も映画も孤独な妻を尾行してるうちに探偵が妻に恋心を抱いてしまうという展開は同
じなのだけれど、こ〜れが映画版には映画ならではのロケーションの素晴らしさ、舞台版に
は役者の演技だけが前面に出る良さがあってまさに対極的。舞台劇の映画化とはこうする
ものだという、お手本の様な脚色でした。
余談ですがかの 「Shall we ダンス?」 で柄本明が演じた私立探偵の事務所には本作
のポスターが貼ってあって、見つけた時はニヤリとしてしまった。周防監督もきっと好きなん
でしょうねぇ。