「フレンチ・コネクション」
この映画の3年前の1968年にかのスティーブ・マックィーンの「ブリット」が出て、初めてヒーロー刑事モノが誕生しました。
そして本作が登場したこの年はクリント・イーストウッドの「ダーティーハリー」も産まれてるんですねぇ。
しかして本作に登場するジーン・ハックマン演ずるポパイ刑事はマックィーンやイーストウッドみたくカッコ良くない。
と言うと言葉は悪いけど、良く言えばそれだけこの作品はリアルに作られているので「カッコ良い」なんて言ってられない内容なのだ!
ダーティーハリーの場合はダーティ(汚い)って言ってるくらいだから、憎き犯人を捕まえる為なら多少? の汚い手を使ったりするけれど、最終的に悪いヤツを倒すのでスッキリしますよね、ブリットも飽くなき執念で犯人を追い詰めて行く姿が痺れるくらいにカッコ良かった。
でも、ここに登場するポパイと相棒(ロイ・シェイダー!)のコンビは、もうそれこそ野獣の様に麻薬組織の壊滅の為に猛進する。
その余りの執拗さと執念の為に自ら何をやってるかの自覚も無くなって行く過程が実に恐い。
犯人を追う為に車道を猛スピードで逆走する場面が有名になってますよね。実はこの作品のプロデューサーのフィリップ・ダントニと言う人は「ブリット」と同じ人で、本作の後ロイ・シェイダーを主演にしたコレまたハードなカーアクションが売りの「ザ・セブン・アップス」を作るんですね。
「ブリット」で初めて街中のカーアクションをやって、病み付きになったんでしょうか(笑)
とにかく本作のヒーロー? であるジーン・ハックマン演ずるポパイと、その相棒のロイ・シェイダーが悪人逮捕の為に野獣の様に奔走し、やがて他のことに対する感覚が麻痺して……と言う描写が実に怖く、またリアル。
「ブリット」や「ダーティーハリー」の様なスタイリッシュなカッコ良さは無いけれど、映画通の間で好まれるのは断然本作でしょうね。
本作の後にかの「エクソシスト」を撮ることになるウィリアム・フリードキン監督の迫真のタッチはこの時点で既に完成していたんですね。