「月光の夏」
太平洋戦争末期、特攻隊として出動を命じられた音楽学校出身の二人の兵士が、死ぬ前にピアノを弾かせて欲しいと、基地の近くにある学校を訪ねる……。という実話を元にした映画。
その二人の特攻隊員は一夜ピアノを弾いて立ち去ったまま、二度と戻っては来なかったのだが、実はその一人が生きていることが分かり、探して行く……ってな展開だったかな。
明日は死ぬ身ということで、最後にベートーベンの「月光」を弾くというエピソードも美しいのだけれど、この映画が教えてくれたのは何といっても「特攻に出撃したのに生き残ってしまった人がどんな扱いを受けたのか……ってことですね。
途中でエンジンの調子が悪くなったり、天候が悪くて引き返してしまったりとか、本人はバリバリ死ぬ気で行ってるのに死にそびれてしまうと「卑怯者」扱いされてしまう……よく戦争で生き残った元兵士の方が「亡くなった戦友たちに申し訳ない」って話をなさる心情を、この映画は掘り下げて良く描いていますね。
この生き残ってしまった兵士を演じた仲代達矢さんも素晴らしかったけど、本当コレを見ると戦争が終わっても全然苦しみから逃れられない人々の苦悩がビビットに伝わって来ました。