「ゴッドファーザー PART II」

 言わずと知れた、アカデミー賞史上、第一作と第二作が両方とも作品賞を取った唯一の作品。

 今でこそ時間軸″を弄ることは当たり前の様に多くの映画・ドラマの手法として使われていますが、映像のモンタージュ論を応用して、二つの時代を交互に見せたこの映画は画期的でした。

 片やイタリアで家族を殺され単身アメリカへ渡ってきたビトー・コルレオーネが仲間を作り、徒党を組んでファミリーを築いて行く時代。そしてもう一方は二代目を継いだマイケルが頑張っても頑張っても上手く行かず、実の兄にまで裏切られ、ファミリーが崩壊していく。

 こ〜の片や上り調子、片や没落していく親子二代の時代を交互に描くことで迫りくる人生とは何か″運命とは何か″。

 この映画は有名なマリオ・プーゾの書いた原作を映画化している訳ですが、原作小説は映画の様に時間軸を弄ったりすることなく、本作のビトーの少年時代から始まって、前作「PART I」で描かれたビトーからマイケルへ代替わりする経過があり、そしてマイケルの時代へと、物語全体が時系列に沿って書かれています。それをこうした時間軸を交互に見せる趣向にしたコッポラの発明が凄い。

 それに原作は後半ラスベガスでの話が主体になってあんまし面白くないし、裏切った兄貴フレドーをマイケルが部下に命令して殺すという鮮烈なクライマックスも無い。そこはやっぱし脚色のセンスなんですよ。そして映画のラスト、奥さんのダイアン・キートンも出てっちゃって、ひとり海辺の椅子に座るマイケルの左手薬指にはまだ結婚指輪が……。

 こ〜れはニーノ・ロータの音楽といい、名匠ビットリオ・ストラーロの陰影を強調したカメラワーク、それにニューヨークスタジオで培った役者たちの演技も相まった凄い映画でした。

 昔悪役レスラーのアブドーラ・ザ・ブッチャーが雑誌のインタビューで「一番好きな映画は?」と問われ「ゴッドファーザー2だ」と答えてたの読んで、この人はホントはインテリなんだろうな、と思いました。何せ「ゴッドファーザー1」じゃなくて「2」だってところがね。



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