「ガントレット」(77米)

 こぉ〜れもお懐かしい。当時はとにかくテレビでCMバンバン流してて、「バスに2千発の弾丸! バスに2千発の弾丸っ!」って煩いの何の。

 この謳い文句は、鉄板等を溶接して弾除けにした大型バスにイーストウッドが当時奥さんだったソンドラ・ロックを乗せて銃を構えた警官達がズラリと待ち構える中を銃弾の雨を浴びながら突っ切って行くラストの見せ場のこと。

 今でこそ「ミリオンダラー・ベイビー」やこないだの「硫黄島からの手紙」等で芸術性の高い映画を撮る一流監督として名を馳せているイーストウッド兄貴だけど、見よ! この大ハッタリB級の面白さを!

 コレこそがイーストウッド監督の原点ですよ、あくまで原点は"娯楽性"なんですよ。なんてったって「バスに2千発の弾丸!」ですぜ。

 この頃のハリウッドアクションって、何でも最後に凄い見せ場がありゃ成り立つみたいな傾向があって、特急列車が駅に突っ込む「大陸横断超特急」とか雪崩れで列車が埋まる「アバランチ・エクスプレス」とか巨大飛行船が燃えちゃう「ヒンデンブルグ」とか……そんなんばっかしやった。

 しかしてこの「ガントレット」はイーストウッド扮する刑事 "ショックリー" が警察上層部の悪事を暴く為に裁判の証人ソンドラ・ロック姉ちゃんを敵の攻撃をかわしながら護送して行くと言うストーリーで、イーストウッドで刑事だし、何でダーティーハリーシリーズじゃダメなんだろう? と思ったものだけど、イーストウッドとしてはもうハリーはパート3で打ち止めと思ってたのでしょうか、まさかその後パート4、パート5が作られるなんて本人も思ってなかったのかもしれませんね。

 それにここでイーストウッド演ずるショックリー刑事の人物像はハリーとはちょっと違う、最初はアル中でどうしょうもないダメ刑事として登場するし。

 今思えばこのオープニングで流れるジャズ音楽と物憂い雰囲気は後にイーストウッド監督が作り出して行く名作群の萌芽を感じさせますね。

 それと何ともエキセントリックでインパクトの強かった女優、ソンドラ・ロックを後に乗せ、グラサンしてバイク(ハーレー?)に跨り走る勇姿は後の「ターミネーター2」に繋がって行くんでしょうか。

 それと勿論皆さんが楽しみにしていたラスト「バスに2千発の弾丸っ!」のシーンが見れればもう言うことなかったですね(笑)ここでの両側からの銃乱射の中をバスが行くシーンは、どこぞの国の刑罰で鞭を持った執行人たちが両側に立ち並ぶ中をしばかれながら歩いて行くと言う刑罰に由来するのだとか。



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