「母 小林多喜二の母の物語」
この映画を製作した現代ぷろだくしょん″て聞いたことあると思っていたら〜かの山村聰監督の「蟹工船」1953! から始まって、オレも公民館で観た「はだしのゲン」やかの橋本忍の大傑作「真昼の暗黒」も作ってる。
設立から一貫して社会問題や人権問題を鋭く問い掛ける作品を作り続け、設立者が亡くなると奥様が跡を継ぎ、脈々と映画製作を続けているという、凄い会社なのでした。
「真昼の暗黒」は冤罪と言われた裁判がまだ進行中なのに企画を立ち上げて、当局からの「やめろ」という圧力にも屈せず製作〜上映したという反骨精神も凄いけど、今観ても超絶凄い脚本で見応えバッチシ! こうした警察の行き過ぎた取り調べ〜虚偽の自白強要って60年も前から変わってないんだな、と空恐ろしくなる。
でこの映画ですよ「蟹工船」小説の作者で当時特高警察に捕まって取り調べリンチで殺害された小林多喜二のお母さんの物語。
まず思ったのは懐かしいタッチ! カメラはほぼフィクス! フィクス! フィックスですよ! というか実は時代考証を施した建物とかを映してちょっとでもパンすると現代が映っちゃうのかな……とも思うんだけど(笑)何せお金を掛けずに作ってるのがみえてしまったり。
でもオイラはやたら手持ちでユ〜ラユラ画面を揺らすのが嫌いなので〜コレぞ映画の撮り方だと落ち着いて観れました。ドラマは役者の演技を堪能する物ですからねぇ、コレのがずっとストレートですよ。
セット等にお金を掛けられない分(失礼)役者さんは寺島しのぶさんを初め渡辺いっけいさんとか上手い人が沢山出てました。
まぁねぇ、娯楽作という訳ではないし、若い人とかやっぱラララ〜の方に行っちゃうんでしょけれど、大作メジャーの一方でこうした映画屋魂みたいな物もあるのだということを知って欲しいですねぇ。
全国で10館しかやらないし、新宿なんて朝一回きりのモーニングショーですぜ。でも満員で入れない方もいました。殆ど年輩の方ばかり。
こ〜の方言とか佇まいとか、見事な役作りをされた寺島しのぶさんに主演女優賞をあげて欲しいんですけどねぇ。