「ハウルの動く城」

 楽しい楽しい宮崎アニメ。今や世界の巨匠、の新作が見れるワクワク感で公開初日は大盛り上がりでした。

 新宿だけでも4つの劇場でかかってたんだから凄いですよねぇ。オレは昔の 「未来少年コナン」 や 「ルパン三世カリオストロの城」 らへんの勧善懲悪冒険物が好きだったけど。宮崎監督が独自の世界を描く様になった最初の作品? 「風の谷のナウシカ」 は最高傑作だったと思います。

 巨匠と呼ばれる様になってからのスーパーヒット作 「もののけ姫」 は退屈で全然面白くなかった。

 晩年のクロサワではないけれど、あまりに巨匠になりすぎて、周りに対等に意見出来るスタッフがいなくなってしまったのではないかと思われる程ひとりよがりが感じられてしまった。

だけど 「千と千尋の神隠し」 とそれに続く本作の溢れんばかりのイマジネーションは全く素晴らしい!
アルプスの様な山脈をガシャガシャ歩くハウルの城の何とも言えない造形、それに乗って窓から眺める情景の美しさ!
 舞台となるいつの時代の何処の国かも分からないけれどなんとも懐かしさを覚える町の風景。

 細かいところで良く分からない設定や、説明不足で主人公が何をやってるのか分からなくなったりする場面もあるけれど(笑)それらを補って余りあるイマジネーションの何と言う広大さ! あの御大(失礼)でなんと言う空想力!

 最近の宮崎アニメの魅力とは、観る者の心を捉えて放さない空想の世界感にあると思う。
 おそらく宮崎監督ご自身の中では明快に図式化されているであろう人物の相関図や過去と現在との経緯等が観客には汲み取れない部分も多く、多少の混乱も生ずるのは前作の 「千と千尋」 でもそうだった。
 でもそんなこと気にならないくらい個々のキャラクターがユニークで情景描写が素晴らしい。観た時は本当に映画館の大スクリーンで観るべきアニメ作品だと思いましたよ。



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