「her 世界でひとつの彼女」
個人の所有するPCのOSが知能を持って、まるで人間の様にコミュニケーションが出来たら……というお話。
それが優しい異性の声で、どんな悩み事にも一番癒される応えを提供してくれるとしたら……そりゃ誰でも恋愛感情みたいなの抱くでしょう。
相手は機械で、持ち主の趣向や性格を瞬時に分析し、一番適した解答を出してくれる。現実にはあり得ない都合の良い相手になってくれる訳だ。
よく電車に乗って8人掛けの椅子に座っている8人中7人が例の "スマホ" ってのに夢中になってコチョコチョやってますからねぇ、開発中の人工知能というのも聞けば既に将棋やチェスでは人間のチャンピオンを負かしてしまうんだとか……。
既にそんな時代なのだから、今から2〜3年後にゃこの映画みたいなことは現実になってるでしょうねぇ。
この映画はそんな近い将来実現しそうなシステムを設定して、そうなったら人間個人に何が起こるのか……ってことを創造して見せてくれます。
主人公は人工知能を生きた人間として認識してしまっている訳だから、そりゃ普通に出会いがあり、恋愛があり、倦怠期があったり、たまにゃ喧嘩したり……と普通に人間同志の恋愛プロセスが展開されていく。
でも如何せん人工知能は飽くまで声だけで実態がないので、映像的には耳にはめたイヤホン状の端末と会話する主人公のオッサンの顔が大写しになりがちで、ちょっとうっとおしくなる。
女性の声だけで観客にも理想の容姿を想像させる……ってこともあるかもだけど、この企画はむしろ映像のないラジオドラマなんかの方が効果があるんじゃないかと思った。
それとやはりオッサンの顔だけじゃ映像的に持たないということなのか、知人に紹介された女性との激しいキスや、人工知能が疑似セックスがしたいという趣向をいれてみたり、やたらエッチな場面を入れたがる様な趣旨を感じた。
離婚の危機に瀕している主人公が紹介された女性は色っぽいけど、ああも結婚結婚〜ってガッつかれたら男は引くよな……(笑)みたいなリアリティはありましたね。
恋愛なら独占欲も普通に芽生えてくるだろうし。でも考えてみりゃ相手はインターネットに繋がっているOSなんだから〜ネットで繋がってる他のユーザーとも同じよう会話をしてて、その中にゃ同じ様に恋人関係になってる相手がいるんじゃないかってことは容易に想像がつくと思うんだけど、それが641人てのは笑いましたねぇ〜。
結論としては、そりゃ四六時中いつでも自分の都合に合わせてくれて、常に心の中に寄り添ってくれるって彼女に恋する主人公の気持ちは解るけど、もし自分だったらと考えると〜やっぱし身体が無いと嫌だ(笑)。