「イミテーション・ゲーム」

 面白かった! 何よりもまず「こんなことが本当にあったのか」ということに仰天してしまった。第二次大戦中に実在した変わり者の天才数学者がナチスドイツの「エノグマ」と呼ばれる解読不可能と言われた暗号を解読するマシン(コンピューター)を作った物語。

 コレは今までの世界史が変わってしまうくらい重大な事実ですよねぇ。例えれば日本が真珠湾を攻撃することをアメリカは事前に知っていた……ってのと同じくらい、イギリスでドイツの暗号を解読してたってことは、第二次世界大戦の流れを変えていたってことですからねぇ。

 コレが国家機密として戦後50年も秘密にされていたということには全く驚いてしまう。ある意味恐さも感じてしまった。

 でもこの映画が本当に素晴らしいのは、隠された歴史という実録の面白さと同時に、その事実に至らしめた主人公の人間性を余すことなく描いているところだ。

 主人公が尋常でない執念で作り上げていく解読機がどんな構造になってるのか等は分からないけれど、彼が暗号を解読するまでの苦悩と、その後の展開が、登場人物たちと同じ気持ちになって心を動かされる様に脚本が出来ている。

 見ながら思ったことは、映画ってのは、人間の内面というよりは、外見や行動を追うことで人物の内面を想像させるものなんだなぁと、今更なんだけど、改めて思いました。

 今年のアカデミー賞にノミネートされていながら持っていかれた「バードマン」よりこっちの方がず〜っと大衆にアピールする良作だと思うのだけれど、投票権を持っている業界の人たちは「バードマン」みたいな内幕モノの方が好きなんですかね。それとも主人公が同性愛者であるという事実も影響してるのかな。

 歴史の事実を知る驚きと共に、偉業を成し遂げたアラン・チューリングという人間の姿に迫ると〜っても面白いエンターテイメントになっていました。

「思いも寄らない人物が思いも寄らない偉業を成し遂げることがある」というキーワードが本当に胸に沁みてくる。


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