「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」

 うう〜〜んん、イマイチぃ、いや二? 血沸き肉踊らない……途中で時間が気になるインディ・ジョーンズなんて……。

 そりゃ60過ぎてあのハチャメチャアクションをやれって方が無理ですよ。走っていてもモッサリしててこちらに心配させちゃうインディなんてねぇ。
 19年経った今やるのなら、昔のままの冒険アクションと言うより、何か他のアプローチが無かったんですかねぇ。

 近頃「ダイハード」や「ロッキー」「ランボー」等、昔の人気シリーズの復活編が流行ってますけど、インディはそれこそ体当たりなアクロバットが求められますからねぇ。
 冒頭の件で、アメリカの核実験場として有名なアトミックカフェが出て来て、あの至近距離からキノコ雲を見上げてたインディがお風呂に入って皆にブラシで身体中洗われただけで助かる訳無いですよねぇ。
 そもそも中に隠れた冷蔵庫があんだけ吹っ飛んで落っこちたら中で死んでますよねぇ。

 核に対するああした認識のユルさはキャメロンの「トゥルーライズ」もそうだったけど、拒否反応を起こしてしまいますねぇ。
 それはもう日本人には戦争体験してなくてもDNAに組み込まれていますからね。インディシリーズでそんな余計なこと考えたく無かった。

 インディの面白さって主人公の冒険は勿論なんだけど、それぞれ脇役との丁々発止の遣り取りの楽しさが主人公を引き立てていたとこありますよね、第一作のカレン・アレン。第二作のアジア系の孤児。第三作のショーン・コネリーはインディを喰ってしまうくらいチャーミングなお父さん振りでステキだった。

 今回はカレン・アレンが人質になってもインディと痴話喧嘩してるおチャメおばちゃんっぷりとか楽しかったですけど、でもなんと言っても今作のポイントは息子の登場でしょう(ネタバレ御免)インディの息子なんだから!

 あ〜の息子のキャラがイマイチ立って無かったのが致命的だった。バイクに乗ってかつてマーロン・ブランドがやった「暴力者」(だったかな?)と同じいでたちで登場してインディに冒険の発端を持って来るんだけど、その後の二人の道中がもっと楽しくないと、"クリスタルスカル"の手掛かりに辿り着くまでの展開が何かモタモタしていてちょっと退屈してしまった。

 シナリオのセオリーから言えば後に父子だったと言う展開を盛り上げるなら最初はもっと対立して喧嘩状態くらいになっておかないと、息子だと分かった時もただ 「何故大学を辞めたんだ」 と言い出すくらいじゃ何ら感慨も沸かない。
 お父さんのショーン・コネリーを超えるくらい魅力的なキャラが欲しかったなぁ。

 それとロズウェル事件が出て来た辺りでおやおや……と思ってましたけど、まさか宇宙人が出て来てしまってはダメでしょう(重ねてネタバレ御免)インディシリーズの神秘は人類の歴史の範疇でのことで、あくまで"考古学"だったんじゃないのか?

 宇宙人が出て来ちゃうともうそれは別物になってしまう。そもそも過去の文明と宇宙人を結び付けると言う発想も使い古されて新味もなく陳腐!

 満足の行くシナリオが出来なくて19年も経過したと言うけれど、それでやっと出来たのがコレですかい。しかも出て来た宇宙人が 「未知との遭遇」 と言う……だったら地下から飛び上がる円盤もあのシャンデリアみたいなマザーシップにすりゃ良かったのに〜そんでポピペパピ♪〜って音も鳴らして。

 そんなで何か不満タラタラな感想だったのでした。近頃流行りの何十年振りかの復活シリーズは概してハズレですねぇ。

 ハズレになる原因のひとつはやはりCG技術の進歩だと思う。技術が変われば映画の面白さも変わる訳で、インディシリーズの楽しさはあくまでアナログなアクションの楽しさだったのではないかな。

 今回スピルバーグは昔の様な作り方を意識してやったと言いますけど、核実験で吹っ飛ぶ冷蔵庫だって普通に本物の冷蔵庫を飛ばして撮った方がまだリアリティあっただろうし、アクションシーンも銃の発砲とかが悪戯にリアルで世界観が変わってしまった様に思われた。

 時代が変わって映画の作り方も変わってしまっている訳だから、昔のタッチを懐かしむと言うのならいっそのことCGを一切使わないとかしないと、どうも中途半端な気がしたなぁ。
 それか全く発想を変えて現代のインディ・ジョーンズ映画のあり方とかを考えた方が良かったのではないかな。

 それとシナリオですね。それは時代が変わっても、技術がどんなに変わろうが、ジャンル問わず人間描写とドラマがしっかりしていないと100パーセント詰まらないですね。

 近頃のひさびさ復活ブームの中で唯一賛成なのはやっぱ 「ランボー」 かなぁ(笑)アレはスピルバーグが「プライベートライアン」で開発したCG残酷戦争描写を上手く取り入れて、ランボー世界にハードな新味をもたらしていたと思いました。


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