「インセプション」
クリストファー・ノーラン監督の前作「ダークナイト」の様な怒涛
のボルテージを期待して行ったのですが、そ〜れが期待に違わず! 怒涛感に
拍車を掛けても〜う怒涛が止まらない(笑)。
日本の大企業の社長(渡辺謙)の依頼を受けたデカプリオ率いるチームの任
務は、狙いを付けたターゲットの夢の中に皆で入り込んで芝居を演じ、当人が
現実だと思う様な記憶を植え付けて、渡辺謙社長の思惑通りに現実世界で彼の
意識を変えさせようというもの。
いわばチームワークで任務を遂行するスパイ大作戦みたいな感じだ。
一人の夢の中に皆で集まる為に皆で一斉に「寝る」という発想が面白い。
まるで空想好きの大学生が考え出した様なお話をマジに作り込んでいるとい
う、何とも楽しいことよ♪
デカプリオ率いるチームがターゲットの夢の中に入り込んで立ち回り、その
夢の中でまた皆で寝て、夢の中のそのまた夢の世界へ入って行く、そこでまた
皆で寝て夢の中の夢の中のそのまた夢の中でドラマが……しかもそれぞれの階
層の夢の世界では別のアクションが行われており、それぞれの時間の早さが違
うので一方ではスローモーションになったり、こっちでは早かったり……と怒
涛に怒涛が重なり、その上ハンス・ジマーのズンズンな音楽が怒涛を煽ってド
ドドド怒涛の重層構造にだんだん訳が分からなくなってくる。
けれどもう勢いの付いた怒涛の波から逃れることは出来ない! 怒涛の流れ
に身を任せてドドドドーと突き進んで行く他はないのだ!
やっと一息つけるのはエンドクレジットが始まってからです。
かつて淀川長治さんがスピルバーグ監督を評して "スティーブンびっくりス
ピルバーグ" と言ってましたけど、それに習ってオイラはノーラン監督を "ク
リストファー怒涛のノーラン" と言うことにしよう。
いや〜面白いですよ。映画館で大画面で大音響で観ないとこの「怒涛感」は
味わえない。
類似なトリップ感に「マトリックス」を挙げる向きもある様ですが、主人公
のデカプリオに決定的な人間的トラウマが仕込まれているのでずっと興味を切
らさず観ることが出来ます。
あと欲を言えば、我等が渡辺謙さんにもうひと芝居、ひと活躍して欲しかっ
たかなぁ。