「ジョーズ」

 一体何回テレビ放映してるんだろう、テレビで放映した回数ベストテンをやればきっと上位に入ってる作品じゃないかな。この作品を撮った時スピルバーグはまだ20代後半だったんだよね。その若造監督に使われる俳優は全て名優のロバート・ショウ! リチャード・ドレイファス! ロイ・シャイダー! この3人のサメと戦いながらのやり取り、掛け合いのなんと楽しくて面白かったことか! 

 本作はともすればサメの描写とかスピルバーグの才能ばかりが取り沙汰されるけど、この三人の大名優の共演は映画ファンには垂涎モノですよ。まだ20代の若造監督の意向を遺憾なく発揮させる為に自らの才能を惜し気もなく提供するベテラン俳優たち! こゆの見るとアメリカのショウビジネスって凄いんだな……と思ってしまう。

 もう30年近くも前のこの映画。勿論サメはハリボテで作り物だけれど、そこには手作りの工夫があって撮影のセンスがあって、今の何でもアリのCGなんかよりよっぽどリアリティーがあってホンモノらしい! 最近のCGのサメがやたらに人を喰いちぎる「ディープ・ブルー」に比べれば作品の質に雲泥の差があるとは誰もが思うんじゃないかな……。

 思うにこの面白さはただ単にサメが恐いんじゃなくて、飽くまでも人間との "攻防戦" であること。他の動物パニック映画が何故この作品に遠く及ばないのかと言うと(本作の続編も含めて)大体が巨大なクマとかタコが一方的に強くって人間がキャアキャア言って逃げ惑うばかりなので疲れるだけなのだ。本作の様に人間の側がこうすればサメはこう来る……ならば人間側がこういう手を使うとサメはこう来て……みたいに繰り広げられる攻防がスリリングで楽しいのだ。

 三人の男優の中で特に堪らないのはクイント(ロバート・ショウ)のあのなんと言う男らしさ! 一番強そうな海男がサメに一番残酷に喰われてしまう壮絶な残酷描写(ネタバレした方ゴメン)CGなんかよりず〜〜〜っと壮絶で戦慄だった(見た当時子供だったせいもあるけど)音楽もユニークで誰でも知ってるもんね。この頃の映画の社会現象化は今のハリポタやマトリックスなんか問題にならないくらい凄かった。もう社会全体がジョーズだったんだからこの頃は。



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